いかんせん八年ぶり、なのです。
待ちわびてくださっていた方もおられるかもしれませんが、過去のシリーズ七作をまったくご覧になっておらず、「安楽椅子探偵？　何それ」と思われる方もおられるでしょう。
どちらの方々にも面白い作品を――と考えつつ、新たな「推理の問題」の制作に挑んでみました。
綾辻＆有栖川からの久々の「挑戦」を、どうぞ皆様、存分にお楽しみください。

綾辻行人

「もうやらないんですか？」と聞かれることが多かった犯人あてドラマ「安楽椅子探偵」が復活します。
「久しぶりだな。今度こそ真相を見抜いていやるぞ」という方も、「噂に聞いたことがある。どんなものだろう？」という方も、ぜひ挑戦してみてください。
　お正月気分が吹き飛ぶ難問を用意しました。

有栖川有栖

歴史ある人気シリーズの「安楽椅子探偵」のストーリーテラー役に声をかけていただいて、とても光栄だと思っています。この作品のように、ミステリードラマを放送して視聴者の皆さんに出題し、解答までを放送するドラマ自体があまりないものなので、とても楽しみにしています。
ストーリーテラー役を演じるにあたっては、僕が含みを持たせたり、ミスリードをしないように、公平中立であることがとても大切だと考えています。確か、前回の正解率が１パーセントを切っている（正解率０．２パーセント）と聞いたので、ミステリーの世界観を損なうことなく、また、色を付けないよう、一歩引いたところにいることを心がけたいと思っています。

ミステリー小説は、マニアほどではありませんが、楽しんでいます。ミステリーを読むときは、トリックの謎解きのなかで、さまざまに張られた伏線の回収に無理がない作品が好きです。そこに無理があったりすると、読者は「これはズルい」と思ったりしますよね。それは、ストーリーの中の駆け引きではなく、実は読者と作り手が駆け引きをしていると思うんです。ですから、謎解きのなかで「そうか、なるほど！」と膝を打つような作品が好きですね。
正統ミステリーというのは、語っていない部分を無理のない程度の想像で止める上手さがあると思います。
ただ、今回の作品は映像ですから、キチンと映像にしなければならない。どこのどの部分をどう見せるのかということは、演出家の見せ所。とても楽しみですね。

「安楽椅子探偵」は、謎解きの部分がとても本格的だということが大きな魅力であり、何作にもわたって続いてきたのだと思います。僕は、本編には関わりがなく、視聴者の皆さんの立場にとても近い。まずは、一番目の観客として、この作品に接していきたいなと思います。でも、謎解きは、こういうミステリーで当たったためしがない（笑）。ご覧の皆さんは、じっくりと何度も見直して、謎解きに挑戦してください！謎を解いて、解決編を観た後は、「やられた！」という思いと同時に、爽快感に包まれると思いますよ！ つづきをよむ

_{ストーリーテラー}谷原章介