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『本当は怖い高血圧~見えなかった異変~』 |
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T・Yさん(女性)/52歳(当時) |
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専業主婦 |
専業主婦のT・Yさんは、すでに一人息子も独立し、今は夫と二人暮らし。そんな彼女のもとに10年ぶりの同窓会の案内状が届きました。ここ数年で体重が増え顔に余分な肉がついてきたことが気になるT・Yさんは、この機会にとダイエットを決意。早速フィットネスジムに体験入会しますが、血圧を測ってみると以前より30も高くなっていました。これも太り過ぎが原因に違いないと思った彼女は、ダイエットに励み、以前より体調が良くなったように感じていましたが、やがて、奇妙な異変が続きます。 |
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(1)高血圧
(2)いびき
(3)指輪が入らない
(4)顔が変わる
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先端巨大症 |
<なぜ、高血圧から先端巨大症に?> |
「先端巨大症」とは、何らかの原因で脳の下垂体という部分に腫瘍ができてしまい、発育を促す成長ホルモンが過剰に分泌。その結果、手足や内蔵、顔が肥大してしまう病気です。この先端巨大症で、最もはっきり症状として現れるのが、顔の変化。先端巨大症の患者の顔を昔のものと比較すると、明らかに顔のパーツが大きくなっています。その特徴は主に4つ。1つ目は、唇が厚くなること。2つ目は、鼻が横に広がり、大きくなること。3つ目は、額が突き出してくること。そして4つ目の特徴は、下あごがせり出してくること。しかし、この顔の変化は、およそ10年間かけてゆっくり進行するため、自分自身はおろか、家族さえも気づくことが難しいのです。そして病の異変は、顔だけに止まりません。それがあのイビキ。過剰なホルモンがT・Yさんの舌を肥大させ、気道を圧迫したことで起こったのです。さらに指輪が入らなかったのも、手のひらの皮膚や骨が厚くなったため。そう、この病はその名の通り、体の先端から肥大化していくのです。しかし、こうした外見の症状より恐れなければならないのは、血管の拡大。全身の血管の厚みが増し、血液の通り道が極端に狭くなることで、血圧が高くなるのです。T・Yさんの高血圧も、先端巨大症が原因でした。これこそが、この病の最大の恐ろしさ。彼女の血管の通り道は、異常に狭くなり、血栓ができやすい動脈硬化に陥っていたのです。そして、自分の顔の変化にショックを受けたT・Yさんの血圧は、急上昇。この時、すでに異常な動脈硬化を起こしていた血管が、ついに血栓で詰まり、心筋が壊死。心筋梗塞を発症してしまったのです。先端巨大症を放っておくと、死亡する危険性は普通の人の2倍以上、10年も寿命が短くなると言われているのです。 |