診察日:2006年6月27日
体に危険な家庭料理 3時間緊急スペシャル
テーマ:
『本当は怖い家庭料理(1)・脳梗塞〜思い込みが招いた悲劇〜』
『骨粗しょう症にならないための料理選び』
『ガンにならないための料理選び』
『本当は怖い家庭料理(1)・脳梗塞〜思い込みが招いた悲劇〜』
N・Yさん(男性)/49歳(発症当時)
サラリーマン(大手商社勤務)
健康診断で高血圧と指摘され、バランスのよい食事をとるよう注意されたN・Yさん。大の肉好きで野菜は苦手でしたが、健康を考え、外食でも肉を食べる時には、なるべくミニサラダや漬け物など野菜をセットで注文。「肉を食べても、野菜を食べてさえいれば大丈夫」そう思っていたN・Yさんですが、1年が経った頃、突然、右腕にしびれるような感覚を感じました。しびれはすぐに治まったため、特に気にすることもなく放っておいてしまいますが、さらなる異変に襲われます。
(1)腕がしびれる
(2)右手が動かない
脳梗塞
<野菜を食べていたはずが、なぜ、脳梗塞に?>
「脳梗塞」とはドロドロになった血液が血栓となり、脳の血管を詰まらせ、一部が壊死してしまう病です。N・Yさんがこの病に冒されてしまった一番の理由は…カロリーオーバー。1日のカロリー摂取量をはるかに超えた食事にありました。厚生労働省が推奨する40代男性の1日の摂取カロリーは、2650キロカロリー。しかし、これがN・Yさんのように、高血圧などの生活習慣病を持つ脳梗塞予備軍となると、1日で1800キロカロリー以内に抑えなければならなくなります。これに対して、肉が好きなN・Yさんがとり続けていたのは、1日およそ3200キロカロリー。なんと、1400キロカロリーもオーバーしていました。しかし、彼は食生活の改善を始め、嫌いだった野菜をとるようにしていたはず・・・。確かに野菜に含まれる食物繊維には、血液中のコレステロールを下げる働きがあり、高血圧、ひいては、脳梗塞を予防する効果があると考えられています。でも、それはあくまでも肉などと野菜の適切なバランスを守ってのこと。厚生労働省の発表では、野菜の1日の摂取目標は350グラム。しかし、N・Yさんの場合、例えばあのミニサラダでは、わずか60グラム。1日の摂取目標からすると、6杯分は必要。そう、量が全く足りていなかったのです。ところが、彼は「野菜を食べてさえいれば大丈夫」と、安心しきっていました。この思い込みこそが落とし穴。その安心感から今までとほぼ変わらないカロリーオーバーの食事をとり続けてしまったのです。その結果、彼の血管では、動脈硬化がさらに進行。ついに血栓が脳の血管を完全に詰まらせ、脳梗塞で倒れてしまいました。
<骨粗しょう症にならないために必要な栄養素とは?>
「骨粗しょう症」の予防には、カルシウムを充分摂ることが第一歩。しかし、実はカルシウムは、体内に非常に吸収されにくい性質を持っています。そのため、吸収を助けてくれる栄養素も併せて摂らなければ、理想的な予防法にはなりません。その栄養素こそ、ビタミンD。ビタミンDは、腸からのカルシウムの吸収を促進し、骨を作るのに欠かせない役割をしているのです。では、カルシウムとビタミンDは、どんな料理に多く含まれているのでしょうか?番組では、カルシウム、ビタミンD、それぞれ多くを含む10種類の料理を選び、ランキング形式でまとめて紹介しました。
「カルシウムの多い料理ランキング」(1食の摂取基準量:250mg)
<ポイント>
カルシウムは、一般的に乳製品や魚類に多く含まれています。今回の料理の中で、最も多くカルシウムが含まれていたのは、アユの塩焼きでした。同じ魚でも、カレイの煮付け(45mg)やアジの干物(36mg)とは比べ物にならないほど。実はカルシウムは、海の魚より川魚の方に多いとされているのです。もちろん小骨も一緒にとれるシラス(210mg)などにも多く含まれていますが、アユの場合、骨を食べなくても充分摂取できるのです。さらにアユには、ビタミンDも豊富に含まれています。(アユの塩焼きのビタミンDは、9.6μg)実は、アユの塩焼き一品で両方の栄養素が充分摂ることが出来るのです。
「ビタミンDの多い料理ランキング」(1食の摂取基準量:2.5μg)
<ポイント>
ビタミンDは、カルシウムと同様、魚に多く含まれています。次いで多いのが、キノコ類。
またビタミンDは、日に当たると活性化する性質があるため、干物類も効果的です。
<ガンにならないために必要な栄養素とは?>
近年、ガンと食生活の関係が明らかになるに連れ、ガンの発生をある程度抑え、ガン予防に効果があると考えられる栄養素がわかってきました。その栄養素とは・・・一つ目はビタミンC。ビタミンCには、ガン発生の原因となる活性酸素を減らす働きや、体内で作られる発ガン物質の発生を抑える働きがあると考えられているのです。そして、もう一つが、DHA・EPAという栄養素。DHAはドコサヘキサエン酸、EPAはエイコサペンタエン酸の略。脳を活性化させると言われ、話題になったあの栄養素です。実はDHAとEPAには、ガン発生のきっかけとなる体内の炎症を抑える作用があるというのです。DHAとEPAが魚に、そしてビタミンCが野菜や果物に含まれているのは、皆さんご存じの通り。しかし、一口に魚や野菜といっても、どれも同じだけこれらの栄養素を含んでいるという訳ではありません。同じ魚や野菜、果物でも、種類によって含有量に多い少ないがあるのです。また、料理の方法によっても含有量に違いが見られます。では、DHA・EPAとビタミンCは、どんな料理に多く含まれているのでしょうか?番組では、DHA・EPA、ビタミンCをそれぞれ多く含む10種類の料理を選び、ランキング形式でまとめて紹介しました。
「DHA・EPAの多い魚料理ランキング」(1食の摂取基準量:2.2mg)
ちなみに、「DHA・EPAの多い魚ランキング」は・・・?
<ポイント>
DHA・EPAは、煮たり焼いたりすると、およそ2割、揚げると、なんと5割も失われてしまいます。
ただDHA・EPAが豊富なトロには、一方でコレステロールも多いため、摂り過ぎには要注意です。
「ビタミンCの多い料理ランキング」(1食の摂取基準量:50mg)
ちなみに、「ビタミンCの多い野菜ランキング」(100g中の含有量)
「ビタミンCの多い果物ランキング」(100g中の含有量)
<ポイント>
ビタミンCは、ピーマン、かぼちゃなど主に色の濃い緑黄色野菜に多く含まれています。そのため、今回使用した中では、赤ピーマンがダントツの1位。ゴーヤにも多く含まれますが、ゴーヤチャンプルのように熱を加えると、含有量が半減してしまいます。ビタミンCは、極めて壊れやすく、ただ置いておくだけでも失われていくのです。だから、2位の「水菜とキャベツのサラダ」のように、新鮮なうちに生で食べるのが最も効果的。1位の「赤ピーマンとホウレン草のソテー」は、赤ピーマン、ホウレン草ともにビタミンCが豊富だったため、熱を加えていても順位を下げなかったのです。