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『本当は怖い高血糖<2>〜まさかの合併症〜』 |
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S・Yさん(女性)/55歳 |
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不動産屋 |
東京の下町で小さな不動産屋を夫婦で営むS・Yさん。甘い物が大好物の彼女は、そのせいか少し太り気味で、久しぶりに受けた健康診断で「高血糖」という診断を受けてしまいました。それでもこれといった異変がなかったため、ついつい甘い物のつまみ食いを繰り返していたS・Yさん。そんな生活を続けて9年後、彼女は客を同じ場所に2度も案内したり、自分がした行動を忘れてしまったりするようになります。 |
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(1)同じことを繰り返す
(2)行動を忘れる
(3)急に激しく怒る |
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糖尿病からアルツハイマー病 |
<なぜ、高血糖からアルツハイマー病に?> |
「アルツハイマー病」とは、脳が萎縮し、認知機能が低下してしまう病気。物忘れや徘徊などの症状が起こり、最終的には寝たきりになってしまうこともある病です。発病の原因は、未だ詳しくわかってはいません。しかし、今年、アルツハイマー病とある病との関連が指摘され、医学界で大きな話題となったのです。その病こそが糖尿病。九州大学が15年にわたり、福岡県のある町の住民の健康調査をしたところ、糖尿病とその予備軍の人がアルツハイマー病になるリスクは、そうでない人の「4.6倍」も高いという結果が出たのです。はっきりしたメカニズムは、わかっていません。しかし、血糖値が高い患者さんの脳を調べてみると、そこにアルツハイマー病を引き起こすβアミロイドという物質が。これが長い時間をかけて脳の神経細胞を破壊し、病を発症させていると考えられています。健康診断で、高血糖を指摘されたS・Yさんは、その後、病院にも行かず生活習慣も改めなかったため、糖尿病になってしまいました。しかし、糖尿病は、よほど悪化しない限り、特別な症状が出ない病。そのため、S・Yさんは自分が糖尿病になっているとは思いもよらず、ついつい油断してしまったのです。厚生労働省の調べでは糖尿病患者、およそ740万人のうち治療を受けている人はわずか340万人。つまりS・Yさんのように治療を受けず、そのまま放置している人が、何と400万人にものぼるのです。 |