診察室
診察日:2009年5月5日
目の疲れの原因を徹底解明!完全対処法SP
テーマ:
『本当は怖い目の疲れ〜瞳に隠された恐怖〜』

『本当は怖い目の疲れ〜瞳に隠された恐怖〜』

N・Kさん(女性)/42歳 主婦
今から17年前、社員にパソコンが支給され、休日も返上して習得に励んでいたN・Kさん。通勤時間に大好きな本を読むことでストレスを解消していましたが、年を追うごとに目の疲れを感じるようになりました。それから4年後、パソコンで作業をしていると、なぜか同じ行を繰り返し読んでしまうことが度々重なるようになります。近所の眼科で診察を受けたところ、「VDT症候群(=パソコン作業などによる目の疲れが引き起こす様々な健康障害)」と診断されました。処方された目薬をさすことで目の疲れや乾きはずいぶん和らぎましたが、やがて更なる異変に襲われるようになります。
(1)同じ行を何度も読む
(2)めまい
(3)近くのものを見ると気分が悪い
(4)頭痛
(5)吐き気
(6)全身の倦怠感
自律神経失調症(じりつしんけいしっちょうしょう)
隠れ斜視(かくれしゃし)
<なぜ、N・Kさんは隠れ斜視に?>
 「隠れ斜視」とは、ごく軽度の斜視のこと。そもそも斜視とは、先天的な要因などで目が別々の方向を向いた状態のことで、両目でものを見ることが出来ないもののこれ自体は病気ではありません。「隠れ斜視」は外見上、全くわかりませんが、眼の向きが外側や内側にわずかにずれている状態です。しかし、これは決して珍しいことではなく、実は多くの日本人の目が、この「隠れ斜視」だと言われています。
 「隠れ斜視」は普通に生活をしている分には、特に問題はありません。彼女があれほどの症状を起こしたのは、その生活習慣に要因があったのです。その要因こそ、パソコン作業などで長時間、近い距離のものを見続けること。
 正常な状態の目は、何もしていなくてもまっすぐ前を向き、そのままピントをあわせてものを見ることが出来ます。しかし、一般的な隠れ斜視の人は、目がわずかに外を向いていることが多く、ものを見る時、目を内側に動かして正常な位置に戻さなければなりません。この時、眼球の外側にある外眼筋という筋肉を使うことになります。つまり長時間、さらに近い距離のものを見ようとすればするほど、外眼筋は片目のズレを正常な位置に保ち続けなければならず、疲労が蓄積してしまうのです。
 そうとも知らずに彼女は、近い距離でものを見続け、目を酷使。その結果、ついには同じ行を何度も読んでしまう症状が起きたのです。例えば、左目の外眼筋に過度の疲労がたまると、脳はその目に休むように指示を出し、逆の右目だけの情報で文章を読んでしまうのです。ところが、その行を読み終えて、次に読む場所を探そうとした瞬間、それまで休んでいた左目が復活。その目に一番近い、これまで読んでいた行の初めをついとらえてしまいやすくなるのです。
 さらに、その状態を放置していると、目だけではなく様々な全身症状を引き起こす自律神経の乱れが生じます。外眼筋の疲労が過度に蓄積すると、眼球を正常な位置に動かすことが難しくなり、ものを正常に見ることが出来なくなります。すると、目の内部にある自律神経が、本来の働きをすることが出来なくなり混乱を始め、ついには全身の自律神経の乱れへとつながるのです。その結果起きたのが、頭痛、めまい、吐き気など自律神経失調症の症状でした。
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