吹田市立豊津第二小学校
2015年11月24日
70
5年生 104名
報道局で災害担当をしている私、大津に与えられたお題は、『「災害報道」をテーマに小学5年生にも分かるよう40分間話をしてほしい』。
これは、難題です。日頃仕事で使っている言葉は漢字や専門用語ばかり。私も報道の仕事を始めたとき「ムズカシイ」ことばかりでしたから、最初に作った授業内容を簡単な言葉に言い換える作業からはじめました。
でも、この作業をしていてハッとしました。ひとたび災害が発生すると、被害にあう恐れがあるのは子どもたち。「災害報道」について一番に知ってほしい相手は、まさしく子どもたちだと気づき、「みんなをたすけたい」との思いをこめて授業をしました。
まずは、地震が発生したら放送局がどんな放送をするのか知ってもらうために、1995年、生放送中に発生した阪神淡路大震災のVTRを見てもらいました。授業を受けたこどもたちが生まれる10年近く前の映像ですが、非常事態の緊迫感は十分に感じられたようで、笑顔は消え、真剣な表情で画面に見入っています。
「揺れるスタジオでアナウンサーが、テレビを見ている人の身の安全を図ってもらうコメントを必死に叫んでいるのは放送局の義務だからです」
そう説明すると、自分にも放送局に勤める人間としての責任がずしりと感じられます。
「放送局は、災害が発生した場合、その被害を軽減するために役立つ放送をしなければならない」と法律で決められています。そのためにABCでは、どんな放送をしているかを知ってもらうため、「L字放送とそこに流れる避難情報」について説明。また地震や津波が発生した場合、すぐに避難を呼びかける放送ができるようにと、地震訓練のVTRも見てもらいました。
いざ津波などの災害が発生すると、人は「自分は大丈夫」と思いがちです。テレビを見ている人、ラジオを聴いている人がそうは思わず、すぐに避難してもらうためにはどうすればいいか、そのための画面の内容やアナウンサーの緊迫感あるコメントなどを解説し、全ては「みんなをたすけたい」との思いで取り組んでいますと伝えました。
実はこの授業がきっかけで、職場で改めて災害時の対応について話し合い、今後の取り組みに活かしています。「やれることはやらないと」子どもたちを前にしたら言い訳はできないなと思ったのです。
ありきたりな言葉ですが、「授業をして教えられたのは自分のほう」だったのです。