炸裂ライヴ!宮川彬良&大阪市音楽団
[作編曲・指揮・ピアノ]宮川彬良
[吹奏楽]大阪市音楽団
日時 |
2012年11月23日(金) 14:00 開演 13:00 開場 |
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会場 | ザ・シンフォニーホール |
料金 | A 4,500円 B 3,500円 C 2,000円 |
一般発売日 | 2012年7月22日(日) |
優先予約日 | 2012年7月18日(水) |
プログラム | 【第1部】 《「宇宙戦艦ヤマト」宮川音楽の勉強会》 ファンファーレ 組曲「宇宙戦艦ヤマト」 地球を飛び立つヤマト コスモタイガー2199ver. ほか ゲバゲバ90分(宮川泰) 【第2部】 バレエ音楽「欲望という名の電車」から (宮川彬良) ?.鏡〜回想 ?.街 ?.孤独 ?.博奕 ?.少年 ?.愛欲 ?.迷宮 ?.幻 見上げてごらん夜の星を(ファイブ・サックス・コンチェルト) (いずみたく/リロイ・アンダーソン) ほか 〈All arranged by Akira MIYAGAWA〉 |
お問い合わせ先 | ABCチケットセンター 06-6453-6000 |
☆☆アキラさんに聞きました♪☆☆
♪大阪市音楽団との出会いについて教えてください。
うちの父(故・宮川泰氏)とCDを作ることになって、宮川泰作品だけを集めた「ザ・ヒット・パレード」というアルバムでしたが、「宇宙戦艦ヤマト」と「ゲバゲバ90分」と「ズームイン!!朝!」を吹奏楽にアレンジして、大阪フィルと大阪市音楽団(以下市音)を1日ずつ借り切って録音しました。それが市音との最初の出会いです。
僕が市音と仕事をするようになる以前に、彼らがどういう活動をやっていたか知りませんでしたが、僕は彼らと一緒に“吹奏楽のショー”を創りたいと思いました。たくさんの人間が吹奏楽のために骨を埋めてきた土壌に、吹奏楽を全く知らないピアノと作曲しかやって来なかった人間が乗り込んでいくということに、すごく価値があると思いました。あれだけファンキーな編成で、あれだけの人数がいて、あれだけ大きな音が出る、それをもってすれば、もっとコミカルで、もっと感動できて、もっと笑ったり泣いたりできる作品が書けて、きっと面白いショーを作れるだろうと。
♪吹奏楽に深く関わるキッカケとなった曲は?
今回は演奏しませんが、リチャード・ロジャースの「私のお気に入り」です。初演は東京佼成ウインドオーケストラで、レコーディングのための演奏でした。その時は自分では指揮はしませんでしたが、皆そのアレンジをすごく気に入ってくれて、演奏家も他の作家陣も「これは面白い!」と言ってくれました。
吹奏楽の編成は、僕の中では、吹奏楽はジャズに根っこが生えたような編成だと思っています。軍楽隊にポップでちょっと面白いジャズをやっていた人たちがいるんですよ。グレン・ミラーとかカウント・ベイシーはビッグ・バンド・ジャズなんだけど、そうではなくて、もう少し吹奏楽寄りの人たちです。そういうところが書く前から “勘どころ”としてあって、そんなリズム隊をしっかりと入れ込んだ、ジャズに根ざしたアレンジというのが、僕の中にはあったんですね。「私のお気に入り」には、そんな思いのたけがこめられています。
もう1つは、「ブラック・ジャック」という曲です。これはもともとヴァイオリンとかクラリネットとかピアノとか9人の室内楽のために書いた曲だったんですが、原作の手塚治虫が生い育った宝塚の中学校の先生から「この曲を吹奏楽にアレンジしていただけませんか」と相談があり、何人もの人から「これはオケよりも吹奏楽のほうが面白いんじゃないか」と言われ、最初はオーケストラ・アレンジを考えていたんですが、この曲にこめた自分のテーマが、“命”ということに関わっていく重いテーマであり、それなら教育的現場のほうが合っているな、と思って、吹奏楽にアレンジしました。
「ブラック・ジャック」では、「私のお気に入り」みたいなジャズではなく、ソナタを書きたかった。現在生きている人間が、吹奏楽のためにソナタを書く、ソナタ形式で挑むということはないのではないか。吹奏楽の場合、先入観みたいなものがあって、ホルストの「惑星」やジョン・ウィリアムズや「宇宙戦艦ヤマト」なんかは合うけれども、ソナタの形式や“様式美”には向いていないと思われてはいないか。吹奏楽における形式や様式美に対して挑戦状を送りつけているようなつもりで書きました。
♪バレエ音楽「欲望という名の電車」について
「私のお気に入り」と「ブラック・ジャック」、ジャズと様式美、構成の妙との接点から生れた作品が、今回演奏するバレエ音楽「欲望という名の電車」です。
ソナタを追求していくことは、あきらめてはいけないんだけど、それはそれでちょっと限界があって、ソナタを書きつづけること自体が目的になってしまうという落とし穴がある。様式美にトライするということは、常にその根源に触れていないといけない。そうすると今度は様式に頼ることになってしまい、ソナタとして良く出来ていることが目的になってしまう。
現代音楽は、それぞれの音楽家がゼロから何かを生み出すことにこだわるあまり、音楽界全体がメロディというものを忘れてしまっている。僕はまずメロディがあって、なおかつ構成的に多重層になっている音楽というものを創りたいんですが、それがソナタだとちょっと追いつかなくて、40分ぐらいのバレエ音楽というのが、構成の妙を楽しむ上で非常に有効だと思います。
「欲望という名の電車」はもともと1時間ぐらいのバレエ(=創作舞台「欲望という名の電車」)ですが、踊りをなくした時に、やっぱり元がバレエを踊るための曲だから、全部フォルテ(強く)ということもなく、全部ピアノ(弱く)ということもない、緩急が実に見事についています。それを順番に並べていくだけで面白い。
ソナタではないけれど、第1テーマがあって、第2テーマがあって、また第1テーマがあって、今度はちょっと違うテーマが出てきて、みたいなやり取りで進んでいくんですが、現代音楽がやろうとしていたことが目の前で具体的に見えてしまうような、1つ1つの曲にメロディもあるし、リズムもあるし、陰と陽があって、影と日向との対比があって、という感じの構成になっています。
バレエはパリでも上演されましたが、お客さんの反応がものすごく面白かったです。各国の大使も誉めてくれました。評論家でも何でもない普通のおばさんに、「これだけバラエティに富んだ全く厭きない1時間だったのに、統一感があったことがとても不思議だったわ」と言われたことがいちばんショックでした。僕がいつも「何が大事か」と無意識に思いながら曲を書いている、まさにそのことを言われちゃって(笑)。
♪映画「宇宙戦艦ヤマト2199」では、オリジナル劇伴から2ヵ月かけて楽譜を起こされたそうですね
面白かったですよ。ああ、こうやって書いていたのか、という彼(=父)の段取りまで手に取るようにわかって。何に対して一所懸命だったということが凄くよくわかって。それは……まあやっぱり……彼はこっちの音かこっちの音か、半音の違いや1音の違いに、メロディを見出そうとしていたんだね。そこをあきらめない。惰性で行ってしまわない。
ド・ミ・ソ、と来たらレ・ファ・ラ、と行くのが世の常で、これは様式美の悪いほうの面ですが、そうではなくて、彼の頭の中はメロディだけで出来ていた。たった15秒の劇伴でも、腑に落ちるまで探して、探して、探して、探して、探して…雰囲気重視のように見えて、雰囲気の中のメロディということに、相当執着がある。やっぱりメロディなんです。
♪大阪市音が宮川さんを惹きつけたものは何だったのでしょう?
彼らが音楽を純粋に好きだったということです。練習が早く終わっても、もっと練習してくれ、というオーケストラは他にはいないんだよね。目の前にある明日の演奏会だけを真摯に捉えて、本当にこれでいいのか、もっとこんな風にも出来るぞ、ということを彼らのほうから言ってくる、けしかけてくる。そこが他のオケとは違うところです。
先日ある人が「世界の共通語は文化だ」と言っていました。僕は「文化・芸術こそが、教育の頂点だ」と思います。そこに“憧れ”というようなもの――目をキラキラ輝かせて、人間の心のエンジンをフル回転させるような原動力がないと、教育は成り立ちません。大阪市音楽団はそんな憧れの的になって欲しい。超・上手い吹奏楽の大人たちが、目に見えない音楽というものを、汗かいて人生かけてやっていると…。彼らを本気にさせるのが、僕の仕事だと思っています。
歴史と伝統と栄光のブラスサウンド
炸裂ライヴ!宮川彬良&大阪市音楽団
アキラさんこと宮川彬良さんの呼びかけで、「Go!Go!市音!大阪市音をほめる会」が大阪城・野外音楽堂で開催されたのはGW最後の週末、5月5日午後5時55分のことでした。
たった1時間ほどのミニ・ライヴでしたが、アキラさんの軽妙かつ熱いトークと、50人の大阪市音有志メンバーの渾身かつ端正な演奏に、3000人の聴衆が詰めかけた会場からは、いつまでも拍手が鳴り止みませんでした。
そのアキラさんと大阪市音楽団のライヴ・コンサートが、この秋ザ・シンフォニーホールで5年ぶりに実現します。
演奏曲目は、アキラさんのトークと共にお贈りする不滅の名作「宇宙戦艦ヤマト」、「ゲバゲバ90分」から、バレエ音楽「欲望という名の電車」、そして5本のサクソフォンが活躍する「見上げてごらん夜の星を」まで、全プログラムを自らが市音のアーティスティック・ディレクターを務めるアキラさん自身のアレンジでお届けします。
忘れられない5月の熱狂から半年。アキラさんと大阪市音とザ・シンフォニーホールが三位一体となる錦秋、ライヴは再び炸裂することでしょう。