その集落には、人の気配がまるでなかった。 小浜の街から、車で1時間足らずのこの山深い集落には 例年以上の雪が積もり、そして今日もそれは降り続いている。 軒先の一本の木は、 まだ老木に至るほどの年数を経ているとは思われないのにその姿は険しく、 この厳しい自然の中で生きていくことの大変さを感じる。 黒く垂れ込む雪雲に向かって、彼は何を想い、何を夢見ているのだろうか。