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2010年6月

パロディについて

■先日、あるラジオ番組にコメディ界のベテラン俳優さんが出ておられて、現代が『パロディの成立しにくい時代』だと嘆いておられました■なるほど、そうかもしれません。パロディというのは一般に、ある先行作品のスタイルや内容を真似しつつ、中身を面白く作り変えたもの。単に洒落ていたり面白ければいい、というジャンルもあれば、必ず批評・風刺の精神に基づいていなければ、という考え方もありますが、まぁそこに話を突っ込むと芸術論なっちゃうのでさておき・・・いずれにせよパロディを楽しむために必須なのは元ネタに関する知識です■そう云えば、僕が子供の頃のテレビのお笑い番組には、『金色夜叉』、『君の名は』、『忠臣蔵』など、小説、映画、舞台などで有名な作品のパロディコントが氾濫していました。今、これらのコントが若い人に受け入れられるでしょうか?面白い・面白くない以前に、前提となる知識が共有されていないため、作品として成立しえないのではないでしょうか?■さて、「漫才の神様」的存在、夢路いとし・喜味こいしのご両人には、繰り返し演じられた数多くの名作漫才があります。いくつかその題名を拾ってみると、おなじみの『お笑い交通巡査』などに混じって、『ファーストフード初体験』、『我が家の湾岸戦争』、『地球にやさしい男』など、大御所になっても時事ネタや社会現象を扱ったネタに挑戦し続けてこられたお二人の姿勢に頭が下がるわけなのですが...■今日注目してみたいのはそこではなくて、『恋愛勧進帳』、『ぽんぽん講談』などの作品です。前者は歌舞伎十八番の一つ『勧進帳』を下敷きにしたネタ、後者は、講談『曽我物語』の語りと、合間に入る張り扇(ぽんぽん)の掛け合いで大爆笑必至の漫才です。つまり、数十年前まで日本では、"大衆"芸能の極ともいえる漫才で、歌舞伎や講談のパロディが受け入れられたということです■いとこい先生といえば、もっとすごい体験があります■7、8年前でしょうか、僕を含むチームで、蜷川幸雄演出『ハムレット』の舞台のメイキング番組を作ることになったのです。『うーん、メイキングだけじゃ持たないしなあ・・・今の人はハムレットって云ったって題名は知ってても中身はなかなか知らないだろうし、ストーリー説明をなにか面白い方法で出来ないかなあ・・・?』と考えた僕たちは、会議の結果(たしか主に僕の意見で)、落語、狂言、漫才という3つの上方芸能のプロフェッショナルにお願いして、3分割で『ハムレット』のストーリーを面白おかしく概説してもらう!、という暴挙に出たのです■落語は桂小米朝(現・米團治)さん、狂言は茂山家若手の皆さん、そして漫才は夢路いとし・喜味こいしのご両人。この試みが番組的に成功したかはともかく(汗)、驚いたのは、僕が打合せのためにいとこい先生の楽屋を訪れたときのこと・・・

僕   『実は、ハムレットを漫才でやっていただきたいんですが...』

こいし 『それやったら昔、僕らやってたで』

僕 『え!?』・・・その後こいし先生は、身振り手振りつきで、「俺が、『おのれレアティーズ!』とこうやったら、兄貴がこうきてナ・・・」などと、かつての持ちネタ『お笑いハムレット』(?)のさわりを披露してくださったのです。最後はハム(レット)と敵役の(レア)チーズの洒落で落とすようなハナシだったんですが・・・■つまり驚愕したのはこういうことです。かつての日本人、それも一部のインテリ層ではなく漫才を愛するごく普通の庶民は、歌舞伎や講談の名作同様、シェイクスピアの代表作のあらすじと主要登場人物くらいは知ってた!少なくともそれ前提でパロディ漫才が作れた!ということなんです■(この項続く...艦長)

派手と地味について

らん.JPG胡蝶蘭の花に薔薇のプリント・・・ゴージャスです!

先週のよしもとの芸人さんたちによるお芝居『キャバレー哀歌』の出演者の方に、ご贔屓筋から届けられたお祝い花です。この過剰な感じ、大阪やなあ・・・

■今日は話題の北野武映画『アウトレイジ』の試写会です。すごい作品らしいですね!

■そういえば・・・今から約10年前のこと。東京・渋谷の街を歩いていたら、僕の少し前方を、特徴的なヘアスタイルをした、どこかで見たことのある中年男性が歩いているのに気づきました。NHK(当時)の池上彰さんでした■子供向けのニュース番組の司会で、その頃からそれなりに人気のある方ではありましたが、『地味な人だなあ・・・』と思ったのを何故かよく覚えています。僕はビートたけしさん司会の番組の収録のためにスタジオに向かっているところだったので、ちょっとテンションが高まっていたせいかもしれません。その力の抜け方というか、普通さ加減が妙に印象に残っているのです。『ま、NHKの記者さんやもんなぁ。アナウンサーでもないし・・・』■それがどうでしょう。今や、その池上さんがわかりやすく世の中の出来事を解説する番組が、木村さんも、明石家さんも、ビートさんも差しおいて、1週間の全ての番組の中で視聴率1位を獲得する時代になりました!なんだかすごい。今、視聴者のニーズはそこにあるのか・・・■池上彰さんの知識の広範さ、説明能力の高さは確かにすごいと思うのですが、やっておられることは本質的に『こどもニュース』と変わりません。あの時代からすでに、子供向けに見せかけて実は大人向けに『今さら人に聞けない』ことを解説してくれる人だった、ともいえるわけですが・・・■やっぱりすごいと思うな、うん。何がかはうまく云えないけれど、、、(艦長)

【ババロワーズ挟み込み情報】

2010年もついに半分の月に突入いたしました。イベントや公演は今週も目白押しなのですが、チラシ挟み込みは6月11日からABCホール初登場となります「ババロワーズ」さんの公演からとなります。

ババロワーズ「ヒューマノイド自治区3丁目17番地ももいろタウン」

6月10日(木)16:00~ 1000部

1種類につき1名要員・後ばさみなし

挟み込みご希望の方は上記時間にABCホール入り口へ直接お越しください。(乗組員N)

各ページに記載している内容は、掲載時点のものです。消費税率移行に伴う価格変更等についてご留意下さい。
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