2012年6月24日
『目頭を押さえた』非常にいい感じで稽古が進んでいます■ある田舎の女子高生の身に起きた幸運な出来事。しかしその出来事をきっかけに、二つの家族の人間関係が微妙に変化していく。その変化のザラリとした肌触りのようなものがたまりません。何気ないようでいて、実は決して見てはいけないものを見ているかのような、不思議な気分になる登場人物たちのやりとり・・・■舞台となる家の敷地の一角には、『喪屋』と呼ばれる小屋が建てられています。古来その集落で亡くなった人の遺体を安置し、葬儀を執り行ってきたという空間です。死者の世界につながっているかのような、独特の空気がそこには漂っています。しかし、本当は、生きる者の何気ない日常の中にこそ、異界への入り口が広がっているのではないか?そんな思いにさせる作品です■リアリティが勝負のお芝居ですから、登場人物の経歴や現在の立場、あるいは、舞台上には実際現れない家の間取りなどの「設定」の確認は重要です。おかしな矛盾が起きないように、作家・演出家を中心に気を配りながら制作をしているわけです。当然ですが大切なことです■しかし昨夜僕、すごいものを観てしまいました。『目頭を押さえた』のおよそ1万倍の制作費をかけて昨年作られた、ハリウッドの超大作SFシリーズ映画です。そのぶっ飛んだ展開が各所で評判を呼んでいたのですが結局劇場で観る機会を得られず、最近BSで放送されたものを録画視聴したのです■僕は、普段から映画にせよ演劇にせよストーリーの読み取り能力が極端に低いので、全体の筋立ての件はさておきなのですが、物語の発端部分でもう最大級にビックリしてしまったのです■1969年7月20日、アポロ11号の月面着陸。人類史上に残る快挙として、その模様は全世界に生中継されました。もちろん僕も固唾を呑んで見た一人です。ところが!この世紀のショーの陰で、アポロの乗組員は母国から秘密のミッションを負っていた・・・。僕の大好物の偽史・陰謀モノみたいだぞ!?ってもうワクワクする設定です■そして、そのミッションがなんと『月の裏側にある異星人の遺物を見つけること』、だったのです。むぅ...。ご存知のように、月という星は地球にずっと同じ面を向けていて(自転と公転の周期が等しい)、だからこそ「表」と「裏」があるわけです。宇宙人の遺物が長年発見されなかったのも月の裏側にあったから、という設定です。では、月の表側にある「静かの海」に着陸した2人の乗組員、アームストロングとオルドリンは、どうやって裏側に行ったのか?歩いてです。月は直径が地球の4分の1もある大きな衛星なので、往復で数千キロは歩いているはずです。さらに、この任務がどうして世界中の人にバレなかったかというと、月の裏側に入って通信が途絶していた間に遂行したからだという・・・。えーと、裏と表が固定しているからこそ見つからなかった遺物のはずなのに、いつの間にか月の裏表は常にグルグル移ろっていることになっている■もうなんだかすごいです。『そんなチマチマしたことどうでもいいんだぜぇ。CGもアクションも凄いぜぇ。ワイルドだろ?』そういうことかもしれません■うん、参りました(艦長)
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- 2012年06月24日日曜日