2014年10月 9日
■伊藤えん魔プロデュース「百鬼繚乱」、あす初日です。
■百鬼、と聞くとどうしても僕が思い出してしまうのは、手塚治虫さんの『どろろ』という漫画です■テレビアニメ化もされましたが、正直云って人気作品、代表作品、というわけではありません。雑誌連載は1967~8年。50年代から60年代前半に、「鉄腕アトム」、「ジャングル大帝」、「リボンの騎士」などで一世を風靡した手塚さんが、漫画やアニメ制作の大きなプロダクションを立ち上げた後、経営者としてもクリエイターとしても苦しんでおられた時代。膨大な赤字と、学生運動の盛り上がりと共にやってきた劇画ブームの中で、「手塚漫画はもう古い」などという声も上がり始めた頃の作品です■その後70年代に入って手塚さんは、「ブラック・ジャック」、「三つ目がとおる」、「ブッダ」などのヒット作を連発、人気面でも完全復活し、誰もが『漫画の神様』と認める偉大な存在になってゆかれます。しかし60年代後半のこの時期の作品は、「バンパイヤ」、「どろろ」と、魑魅魍魎が跋扈するおどろおどろしい作品が続きました。人気も低迷気味で、少年漫画としてはさすがに暗すぎる内容が主な原因だったと思います。なにせ「バンパイヤ」では、手塚治虫本人のキャラクターが作品に登場し、冷酷無比な悪漢・ロックに谷底に突き落とされてしまったりするのです。シャレではなく、作者の苦悩がストレートに滲み出たような展開でした(ちなみにテレビ版は実写ドラマがベースで、変身したオオカミだけがアニメーションで合成されるという大胆な技法で作られています。手塚役はやけっぱちなのかご本人が演じ、主人公・トビオ役にはなんと!後にテレビ朝日系列の大恩人となる新人・水谷豊さんが抜擢されているというのも見どころです)■中世の日本を舞台とする『どろろ』も、同様に妖しく暗い作品。主人公・百鬼丸が魔物たちと戦い続け、ひとつ倒すごとに、自分の肉体の欠けていた部位をひとつずつ取り戻していく、というお話です。盗人の少年・どろろが彼の相棒として活躍しますが、とても彼一人の陽気さで補えるほどのダークネスではありません。しかし僕個人としては、少年週刊誌を読んでいた最後の時期の作品でもあり、思春期に向かうモヤモヤとした自我とシンクロして、とても印象深い作品だったと記憶します■というわけで、えん魔氏が(!)創造した百鬼たち、明日からABCホールで暴れ回ります(艦長)
11日(土) 14:00 ★ 19:00
12日(日)13:00 ★ 18:00
13日(祝)13:00 ★ 18:00
★・・・恒例のトークショウ「500円えん魔ちゃん」・(土)は17時~18時、(日)(祝)は16時~17時
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- 2014年10月09日木曜日