― 阪神電気鉄道株式会社 ―
【第1話】2015年12月7日(月)24:24〜
誰かがどこかで見守ってくれている
- 新型普通用車両5700系
- 車両部工場チーム主任
藤井健太郎さん - 座席の仕切りにも工夫が
- 扉の開閉装置
人々の生活の足として親しまれ、愛され続けている阪神電車。その新型普通用車両5700系が今年8月に運転を開始しました。その設計にかかわったのが、車両部の藤井健太郎さんです。
普通用車両としては20年ぶりの新型車両。目指したのは、安全・安心はもちろん、地球にも優しい車両でした。
たとえば座席の仕切りに作った大きなくぼみは、万が一の衝突時に衝撃を軽減するだけでなく座席の肘あてや腰当てに。またお年寄りが立ったり座ったりしやすいよう、他のシートよりも座面を高くした「ちょい乗りシート」など阪神電車独自の設備を備え付けました。
さらに扉の開閉スイッチも設置。長時間停車するときに必要な時だけ扉を開閉することができ、車内の保温性やエアコンなどの消費電力を押さえることで地球にやさしい車両を実現しました。
新型車両をつくるにあたって、企画設計チームは何度も話し合いを重ねました。しかし、時には行き詰まることも。主任である藤井さんは、「自分が何とかしなければいけない」と焦ることがあったといいます。そんな時に気付いたのが「誰かがどこかで見守ってくれている」ということでした。
苦しい時、上司や周りのメンバーが必ず藤井さんの後押しをしてくれたのだといいます。誰かが見守ってくれている、その安心感が頑張りにつながったのだと。だからお互いに誰がどんな仕事をしているのか、見守り合いながら協力することがとても大事なのだと。
安全・安心を見守るプロフェッショナルがいます。
【第2話】2015年12月8日(火)24:24〜
100点の仕事をして当たり前
30年以上にわたり「責任事故ゼロ」を継続してきた阪神電車。安全な運行を支えているのは線路の管理・修繕を行う「保線作業」です。
西宮保線事務所の作業員22名が分担して、10日に1回、すべての線路を点検します。
ボルトは緩んでいないか、レールが傷んでいないか、ときには叩いて音を聞いて判断することも。
悪くなりそうな箇所を見つけるとただちに交換するのですが、現場の状況はもちろん、季節によってレールが伸縮するため、加工はまさにミリ単位なのです。
交換作業が行われるのは最終電車が走り終えてから始発電車までの間。西宮保線事務所主任の中西さんは、こうした作業のなかで常々、若手社員に話すことがあります。それは、使った道具を元の位置に正確に戻すこと。どんな小さな作業でも確認を怠らないことが安全につながると考えているからです。若手社員の井上さんは、配属された先輩からまず教えられることがあるといいます。それが「100点の仕事をして当たり前」ということ。1つのミスが大きな事故につながる、保線の仕事。短い作業時間の間で正確にするのは当たり前。どんな作業でも100点が求められるため、安全を守り続ける作業員たちに受け継がれている言葉なのです。
中西さんは言います。地道な作業だが、この仕事に誇りをもっているし、これからもずっと後輩たちに伝えていきたいのだと。
この会社には安全への思いを受け継ぐプロフェッショナルたちがいます。
- 線路の点検作業
- 工務部保線課 西宮保線事務所
主任 中西敦雄さん - 工務部保線課 西宮保線事務所
係員 井上勇気さん - 22名の作業員が「保線作業」を分担
- レールの加工は数ミリ単位
【第3話】2015年12月9日(水)24:24〜
駅から街に活気を
- 阪神電車甲子園駅
- 甲子園駅管区 駅長 生田博一さん
- 地域の方とふれあうイベントを開催
- 「駅前でのラジオ体操」で
駅と地域のつながりを
阪神甲子園球場の最寄り駅、「甲子園」駅はプロ野球や高校野球の試合が行われる日は大勢の乗降客が利用します。今年4月からこの甲子園駅管区の駅長に就任したのが生田さん。
甲子園駅では、他の駅と違った仕事があります。それが野球の試合が行われるときにお客さんの人数や試合展開などを考慮し、球場担当者と連携しながら臨時列車を走らせるタイミングなどを決めること。
しかし、駅長の仕事は列車の運行に関わることだけではありません。さまざまなイベントを企画するのも仕事。生田さんは言います。駅は目的地までの通過点でしかないが、地域の方々と積極的に触れ合う機会を持つことで、街全体が活気づくきっかけになるのだと。「駅から街に活気を」発信していきたい、と。例えば生田さんは御影駅管区の駅長時代に「駅前でのラジオ体操」を採用しました。今では、毎朝の催しとして定着し、地元の人たちにも好評です。こうしたことの積み重ねで駅と地域のつながりをどんどん深め、何も用がなくても人が集まってくれるような駅になっていけば…生田さんはそんな理想を抱いています。
ここには、沿線の人たちと鉄道事業をつなぐプロフェッショナルがいます。
【第4話】2015年12月10日(木)24:24〜
沿線に寄り添う
1905年の営業開始から110年。人々に愛され続ける阪神電車はいま、新たな事業に取り組んでいます。
たとえば高架下のスペースを使ってレタスを栽培している野菜工場や社員の発案によって2年前にスタートした介護事業など。これらは「街の未来」を考えて生まれたものです。介護事業を提案した石村さんはこんな想いを抱いています。「高齢化社会の中で鉄道の乗客の方も高齢者の方が増えてくる。リハビリして元気になって頂くことで再び電車に乗って出かけて頂いたら」と。
阪神電鉄は昔から地域とともに歩んできました。もともとは人々が暮らす集落を順番につなぎながら開業した阪神電車。地域とのつながりが非常に深いため、沿線をいかに住みやすい街にするか、行ってみたいなと思ってもらえるか、そういうことをこの会社は考えてるのです。
例えば、ICタグを使って児童の校門通過情報をメールで知らせるサービス「登下校ミマモルメ」も4年前に始めた新規事業。今では全国に広がっています。しかし、新しい事業ならなんでもいい、という訳ではないと藤原社長は言います。大事なのは事業を通じて、「沿線に寄り添う」ということなのだと。
新しい事業で沿線に住む人々と発展し、安心して暮らせる沿線に、住みやすさ、心地よさ、知る縁、「知縁」を増やしていきたい、そんな未来をこの会社は目指しています。
プロフェッショナルたちは鉄道と沿線の未来を見つめています。
- 高架下を使ったレタスの栽培
- 2年前にスタートした「介護事業」
- 新規事業推進室 石村康二郎さん
- 住みやすい沿線・街を目指して
- 藤原崇起 代表取締役社長