「背景を知ることで、絵の見方が変わります」と言うのは今回のカシコブレーン、早稲田大学講師の中野京子先生。前々回は「怖い絵」、前回は「怖い世界史」をテーマに、さまざまな名画を紹介してきた中野先生が、今回も選りすぐりの怖い絵画をたっぷり紹介していく。
誰もが1度は見たことがある名画を残している巨匠の中にも、イメージとは違う怖い絵を描いている人がいる。例えば、アニメ「フランダースの犬」でネロ少年が最期に見た絵「キリスト後架」を描いた巨匠・ルーベンス。彼は旧約聖書の一節を描いた恐ろしい絵を残している。敵対する部族の娼婦デリラに恋した怪力男サムソンが、デリラたちの罠にはめられ、殺されるというストーリー「サムソンとデリラ」には、酒に酔って眠るサムソンと彼を殺そうと扉の向こうで待ち構えている兵士たちの姿が描かれている。この話の続きを描いたのがレンブラント。彼の絵の中には、兵士たちに目を潰され、叫んでいるサムソンの姿が。あまりの怖さに絵を見た瞬間、モモコや松井から「キャ~!」という悲鳴があがるほど。この他にも、巨匠と呼ばれた画家たちの怖い絵を続々紹介していく先生。ブリューゲルが残したギリシャ神話を描いた絵では、1ヵ所だけ描かれた怖い部分を皆で探してみるのだが…。
続いて哀しげな表情をした少女の絵、レーニが描いたと言われる「ベアトリーチェ・チェンチ」の美しくも哀しい物語を紹介。16世紀、イタリアの名門貴族の娘がモデルになったこの作品。父親殺しの罪で、ローマ教皇から斬首の刑を言い渡された少女の処刑前日の姿を描いているのだとか。だが、父親を殺すに至った経緯をVTRで見た後、中野先生は「じつは、処刑されたこととチェンチ家が断絶したこと以外は、ウソかもしれないんです」と衝撃発言を始める。先生が話す内容に、絵画に無知な凡人たちも興味シンシン!
他にも第一次世界大戦中、ドイツの一般家庭のリビングに飾られた「死」をイメージさせる絵やスペインのハプスブルク家の2歳の王子を描いた絵も紹介。当時の西洋の人々が持っていた「生と死」に対する考え方、2歳の王子の服装から見る当時の子供服への概念など、絵を通して時代背景を解説する中野先生。そんな先生にリンゴは、「絵は、当時の写真を見るようなものなんですね」と感心する。
「ハテナの自由研究」は、たむけんが出向く「親子PRIDE」。今回は記憶力対決、懸垂対決、柔道対決をそれぞれ3組の親子が勝負する。果たして、子供たちは親を越えることができるのか?
ビーバップではおなじみの先生。早稲田大学講師。専門はドイツ文学、西洋文化史。著書に「怖い絵」「怖い絵2」「オペラでたのしむ名作文学」。まもなく「怖い絵3」を発売予定。