今回のビーバップは、今まで信じていた常識を覆されるようなことが続出。「分子生物学から見えてくる!間違いだらけのあなたの常識」をお送りする。
分子生物学という聞き慣れないジャンルを専門とする今回のカシコブレーンは、青山学院大学教授分子生物学者の福岡伸一先生。分子生物学とは、簡単に言うと生命の不思議を分子を使って解き明かす学問のこと。1つ1つの生物を個体として見るのではなく、たんぱく質やその他の資質などの分子で成り立っているものとして見るという。分子レベルで考えると自然現象や生態系などは、お互いに親密に関係していて「部分」と呼べるものはない。ところが、人間は部分的な視野で物を見て、認識の落とし穴にはまっていることがあるのだとか。
その一例が、プルプルお肌の効果が期待できるといわれるコラーゲン。だが、福岡先生いわく「実際は食べてもコラーゲンにならない」らしい。「確かに、顕微鏡の中で見るとコラーゲンが細胞と細胞の間でクッションになっているんですが、食べた段階でアミノ酸に分解されてコラーゲンではなくなってしまうんです」と先生。これには女性陣が大ショック!「でも、コラーゲン鍋なんかを食べると、次の日はお肌がツルツルっていうでしょ?」というリンゴだが、福岡先生は「気のせいです」とキッパリ否定。「じゃあ、化粧水のコラーゲンは?」と質問しても「肌には入らないです」と先生。「『足りないなら補給する』という部分的な考え方だけにとらわれて、食べ物を消化して取り込む流れを無視した典型的な例です」と福岡先生は言いきる。だが、お肌のためにコラーゲンを補給し続けてきたリンゴは、ショックを隠しきれない。「有馬温泉に家を買えるくらいコラーゲン、買ったのに…」と未練たっぷり。また、狂牛病についても語る先生。「もっとたくさんの乳が出るように」という部分的な目的を優先したために、発生したのが狂牛病。その経緯を聞くうちに、狭い視野で見た目的のために、生態系が壊れていくことを教えられる。
この他にも、生命の流れや「心霊写真」さえも分子生物学から解明してしまう先生。それだけではなく、年を取ると「1年」を短く感じる理由について解き明かす。
「ハテナの自由研究」は、毎回見る側がヒヤヒヤする「弟子は師匠を越えられるのか?8」をブラマヨがお届け。洋食店のオムライス対決、そして剣道対決の2組の結果は?
青山学院大学理工学部教授。専門は分子生物学で、プリオン病の発症メカニズムなどが研究テーマ。 2006年に『もう牛を食べても安心か』で第1回科学ジャーナリスト賞を受賞、『生物と無生物のあいだ』で2007年サントリー学芸賞を受賞。今年の春に出版した『動的平衡』が大ベストセラーになっている。