数々の名歌を生んだ夭折の天才歌人、石川啄木。実は彼の歌の中には、伝説のカリスマシンガー、尾崎豊の歌の世界観と重なるモノがある。尾崎の「15の夜」と、啄木が15歳の頃の自分を振り返った歌には共通する感覚があるうえ、奇しくも2人はともに26歳で亡くなっているのだ。啄木が生きていれば、尾崎のように多くの名曲を残すシンガーソングライターになっていたかもしれない。そんな啄木にひかれ、彼の歌の心を読み解くのが歌人の枡野浩一先生だ。枡野先生の作品は「かんたん短歌」と呼ばれ、私たちが日常で使う優しい言葉で思いを伝える。今回は、枡野先生が啄木の歌や人柄を紹介しながら、啄木の魅力を解き明かす。
枡野先生によれば、短歌は季語を入れる必要もなく、五七五七七の世界で日常の言葉遣いで語りかけるように綴る歌だとか。なかでも啄木は、難しい言葉を使いがちだった当時、普段の言葉遣いそのままに歌を綴っている。また、枡野先生によれば、短歌は一人称の文学といわれるが、啄木の歌は誰もが主人公になれる、感情移入しやすい歌なのだそう。そんな啄木の恋の歌は現代のラブソングに通じるものも多い。そこで、啄木の恋の歌の数々をつなげて現代の恋愛ドラマを描く。26歳の会社員のボクは雑踏の中で女性とすれ違い、振り返る。「君に似し姿を街に見る時の こころ躍りを あはれと思え」。ボクが思い出したのは高校から大学時代まで続いたほろ苦い恋。“三十一文字”の歌で綴るセンチメンタルな物語とは・・・。スタジオでは枡野先生が啄木の性格を明かし、一同を騒然とさせる。不良少年だった彼は働かずに友人にお金を無心し、フーゾクに通ったり、不倫をしたり・・・。おまけに妄想癖もあるなど、教科書のイメージとは異なる啄木の素顔が明かされる!
また、啄木の歌で綴る「日曜日のOL編」と「サラリーマンの日常編」をドラマタッチに紹介。まさに今の時代にもぴったりの短歌の数々を紹介する。
さらに、一同が短歌作りに挑戦!“日常”をテーマにある日の日常を31文字で切り取る。近頃起こったエピソードを綴り、枡野先生から「オチをつけようという芸人魂を感じる」と誉められたチュートリアル徳井の短歌とは?さらに、新婚の朝の幸せな一コマを綴った夏川純のハッピーそのものの短歌のあとは、モモコの世にも恐ろしい連作が・・・。そして、枡野先生も即興で作ったスタジオ大爆笑の歌を披露する。
「ハテナの自由研究」は、たむらけんじの「妻が急に美しくなったら旦那は気付くのか!?」。今回は3人の奥様が美しく大変身。夫が気づかなければ、その場の空気が一瞬にして凍りつくが、はたして今回は!?
歌人。97年、短歌集『てのりくじら』『ドレミふぁんくしょんドロップ』(共に実業之日本社)でデビュー。短歌指導に定評があり、NHK「スタジオパークからこんにちは」やNHK「ようこそ先輩」での講義は大反響を呼んだ。短歌入門書『かんたん短歌の作り方』(筑摩書房)がきっかけで、加藤千恵、佐藤真由美ほかが歌人デビュー。「かんたん短歌blog」に入選した短歌を活かして書いた青春小説『ショートソング』(集英社文庫)はベストセラーに。
この回の内容に興味がある方は・・・
![]() |