ロンドンオリンピックに燃えたこの夏、もうひとつのオリンピックがアルゼンチンで行われていた。それは「国際数学オリンピック」。今年は世界100カ国548人の頭脳アスリートたちが参加し、韓国の優勝で幕を閉じたが、参加者の多くが目指すのは数学者の世界だ。数学者の扱う数学は私たちが学校で習う数学とは異なり、いまだ未解決の問題に挑むこと。もしかすると、一生かけても解けないかもしれない問題に人生をかける。それだけに、数学者たちの人生はユニークで、とてもドラマチック。2001年に世界中で大ヒットした映画「ビューティフル・マインド」や2006年に日本で大ヒットした「博士の愛した数式」など、数学者を主人公にした作品が示す通り、彼らの生き方は時代を超えてロマンを感じさせてくれる。そんな、私たちのよく知らない数学者たちの物語を教えてくれるのが数学ライターの中村亨先生だ。今回は、映画になるほどドラマチックな数学者たちの知られざる物語を紹介する。
そもそも、数学者が扱う数学とは答えがまだ見つかっていない問題に挑戦すること。まずは、数々の数学者たちを翻弄し、苦しめた「フェルマーの最終定理」の証明に挑んだ、ある数学者の物語を紹介する。「フェルマーの最終定理」とは、17世紀の中ごろ、数学の才能に長けたフランスの法律家、フェルマーが残した定理で、「nが3以上のとき、『Xⁿ+Yⁿ=Zⁿ』を満たす、自然数X、Y、Zは存在しない」というもの。これを証明するべく、多くの天才数学者が挑んだが、まったく証明できないうえに迷宮に入りこんでしまうため、“悪魔の定理”とまで呼ばれた。その後、ドイツの資産家が10万マルクの懸賞金をかけるなど、様々ないわくをもつこの定理に挑み、悪魔を倒すために戦い続けた数学者、アンドリュー・ワイルズの波乱の物語とは・・・。スタジオでは、ドラマチックなストーリーをもつ数学者たちをピックアップし、紹介する。
“ミレニアム”と騒がれた2000年に、アメリカのクレイ数学研究所が世界中の数学者に向けて発表した「7つのミレニアム問題」。それは、解くには100年はかかるといわれるほどの超難問で、1問につき100万ドルの懸賞金がかけられた。だが、発表直後、その中のひとつ、「ポアンカレ予想」をロシア出身のユダヤ人、グレゴリー・ペレルマンが見事に証明した。アメリカに留学し、数学界の若きスターとなったものの、ひっそりと故郷のロシアへ帰国したペレルマン。その後、「ポアンカレ予想」を証明してみせたが、100万ドルの懸賞金も、数学界の最高峰「フィールズ賞」も拒否したペレルマンとは、いったい・・・!?
また、スタジオでは、子どものように柔軟な発想や純粋な気持ちがあれば解けるハズの数学クイズに凡人チームが挑戦する。
「ハテナの自由研究」は、ブラックマヨネーズの「リカバリー王選手権」。外見はイマイチな男性が特技を披露し、見た目をどれだけカバーできるかを競う人気企画!今回は番組史上最年長の男性が登場!63歳にしてNSCの生徒という、プラマヨの後輩にもあたる男性の特技とは!?
数学ライター。千葉県生まれ。
東京大学大学院理学系研究科数学専攻修了。理学修士。
環境コンサルタントとして働くとともに、数学に関する書籍の執筆、講演等を行っている。生物・生態系や宇宙、機械や建築・都市など、様々なものが形づくる、数学的なからくりに強い関心を持っている。特に好きなものは、隕石、バク、シーラカンス、路面電車、ドリアンなど。
現在「たけしのコマ大数学科」(フジテレビ系)に出演中。
著書に『数学21世紀の7大難問』『インド式計算ドリル』『脳が目覚める逆転発想力パズル』など。
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