私たちにとって外国映画を楽しむために欠かせないのが、字幕。そもそも、アメリカやヨーロッパでは外国映画は吹き替えが主流であり、これほどまでに字幕文化が発達しているのは日本だけ。日本史上初めての字幕映画「モロッコ」以来、世界随一の識字率を誇る日本の教育事情も手伝って、字幕映画は日本で独自の進化を遂げた。そんな日本の映画字幕の世界を教えてくれるのが、字幕翻訳家の菊地浩司先生。これまでに携わった作品は、「ロボコップ」や「スタンド・バイ・ミー」、「スパイダーマン」「オーシャンズ11」など、500本以上という重鎮だ。数々の名作の字幕を担当してきた菊地先生が映画字幕の裏側を徹底紹介。これを知れば、字幕映画がもっと楽しめる!
「字幕は作品を輝かせる名脇役」という菊地先生。翻訳家にも得意分野があり、菊地先生はホラーやアクションを担当する機会が多いとか。一般的にはなかなかわかりにくい映画字幕の仕事について、「ギャラは?」「劇場公開の作品に携わる字幕翻訳家は何人ぐらい?」など、知られざる字幕翻訳の世界に一同も興味津津。そこで、“いかにして字幕はつけられるのか?”をVTRで紹介する。まず、映画配給会社から新作の依頼が舞い込むが、字幕翻訳には文字数に関する絶対ルールがあった!そこに隠された日本が世界に誇る驚きの職人技とは!?あまりにハードな字幕翻訳の仕事に、知らずに映画を観ていたスタジオの一同は「たいへんやなあ」と感心しきり。さらに、菊地先生が様々な苦労を明かす。なかでも、菊地先生が、2001年に公開された「ジュラシック・パーク3」の作業で体験した驚きのエピソードとは!?
ラブストーリー、コメディ、アクションと、映画には様々なジャンルがあるが、それぞれのシーンを引きたてる字幕テクニックがある。今回は実際の映画をもとに、そのテクニックを具体的に紹介。なかでも、コメディ映画の“命”ともいえる「笑い」は、字幕になった途端に笑えなくなり、作品が台無しになることも。私たちが笑えるのは、そこに翻訳家の涙のにじむ苦労が隠されているから。特に、独自の文化や固有名詞を使った笑いを日本人にもわかりやすく置き換える作業には、スタジオの一同も「なるほど!」と納得。そこで、一同が映画字幕に挑戦。くまのぬいぐるみ、テッドと主人公の青年の友情を描くコメディ映画「テッド」をテーマに、先に習ったコメディのテクニックを使った字幕に挑む!
「ハテナの自由研究」は、ブラックマヨネーズの「人の見た目にごまかされるな!」。運動ができそうな人が、実際にはまったくできなかったりと、人は見た目と中身がまったく違うことがある。そこで、見た目に惑わされず、その人の中身を見抜けるかどうかを、チーム吉田が検証する!
菊地 浩司(きくち こうじ)
字幕翻訳家。東京都生まれ。
学習院大学法学部卒業後、独学で翻訳の技術を身に付け、字幕の世界に入る。
戸田奈津子に次ぐキャリアの持ち主で、年間20本以上の幅広いジャンルの作品に携わっている。代表作は『スタンド・バイ・ミー』『オーシャンズ11』、『セブン』、『スパイダーマン』シリーズ、『ロボコップ』シリーズ、『13日の金曜日』シリーズなど、挙げるとキリがない。
現在、日本語翻訳制作会社ACクリエイトの代表取締役として、後進を育てながら、現役で活躍中。