年に一度、関西では世界一混み合う展覧会が開催される。20万人以上が詰めかけ、1日の平均入場者数は世界一!日本が世界に誇る至宝の数々が展示される「正倉院展」だ。1200年以上にわたり、正倉院に受け継がれてきた9000点以上にもなるお宝。その最大の特徴は“保存状態”で、通常なら1000年以上も前の物は土の中からの出土品がほとんどだが、正倉院の宝物は当時のままの美しさで輝きを放つ物が多い。それらの宝物は、そもそも、奈良時代に東大寺の大仏を建立した聖武天皇の元に届けられた国内外の一級品の数々を、聖武天皇亡き後、妻の光明皇后が夫の愛用の品々とともに東大寺の大仏に献上したことにより、正倉院が建てられた。今回は、30年以上にわたり、「正倉院展」に携わる奈良国立博物館学芸部長の西山厚先生が、正倉院宝物にまつわる物語を紹介する。
「日本人は物を大切にする民族。ゆえに、1200年も前の品々が受け継がれてきた」という西山先生。そんな日本の至宝が展示される「正倉院展」だが、およそ9000点の中の70点が展示され、一度出展した品は、その後10年は出ないという。だが、今回は、揃って展示されることのない貴重な品々が一堂に会する“珠玉のプレミアム正倉院展”を公開!西山先生が監修した、正倉院の魅力を凝縮した特別バージョンの「正倉院展」を紹介する。1000年の時を越え、在りし日の聖武天皇の姿が目に浮かぶような至宝の品々の中でも人気が高いのは、美しい細工が施された鏡。聖武天皇自らが使っていた鏡だが、自分を見るためのものではなかったという。その役目とは!?きらびやかな装飾品だけでなく、光明皇后は意外なものも献納していた。皇后の思いが込められた品とは・・・。
西山先生が、正倉院の宝物の中でとてもミステリアスな宝物としてあげるのが、“正倉院の顔”といわれるほどの逸品「蘭奢待」。名前をよく見ると、「蘭」の漢字の中には「東」、「奢」には「大」、「待」には「寺」の文字があり、「東大寺」の文字が浮かび上がる。それほどまでに特別な存在で、“天下一の名香”を燻らすという「蘭奢待」とは!?そして、「蘭奢待」に並々ならぬ思いを抱いていた戦国武将とは!?「蘭奢待」を巡る物語を紹介する。
また、正倉院の珍宝にまつわるクイズも出題する。
「ハテナの自由研究」は、チュートリアルの「妄想キャラ-1グランプリ」。“やまとなでしこ”など、名前はよく知っているが、姿形は見たことのないキャラクターをイラストレーターが妄想して描くグランプリ。今回は、「おっちょこちょい」と「ゲス野郎」のキャラクターをイラストレーターが描く。なかでも、「ゲス野郎」のキャラとしてたむらけんじを用いた作品が最高得点となり、スタジオは大爆笑に!
西山 厚(にしやま あつし)
奈良国立博物館学芸部長。南都官能学会会長でもある。
徳島県鳴門市生まれ。京都大学文学研究科博士課程修了。専門は日本仏教史。
鎌倉時代の仏教への関心から始まり、時代と内容を次第に拡大。現在は、仏教を中心に人物に焦点をあて、日本の歴史・思想・文学・美術を総合的に見つめながら、生きた言葉で語る活動を続けている。
ちなみに阪神タイガースファン。著書に『仏教発見!』、『僧侶の書』の他、『東大寺(別冊太陽 日本のこころ)』、『官能仏教』などを監修。
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