昨年、大阪府内で起きた自転車の盗難件数は、認知されているだけでおよそ3万4000件。タイヤに鍵をかけたり、ハンドルやサドルをロックするなど、物理的に動かせないようにする防犯対策が講じられている。一方、自転車泥棒の盗む気をなくさせる心理的な仕掛けとして話題になったのが、鳥のフンをリアルに再現したシール。誰も、サドルにべったりと鳥のフンがついた自転車に乗りたいとは思わない。そんな人間の心理効果を利用した仕掛けが世の中には満ちている。男性小便器の飛び散り防止策として、便器に的となるシールを貼るのも、そのひとつ。そんな人々の行動を変えてしまう仕掛けについて研究しているのが、大阪大学准教授の松村真宏先生だ。「仕掛けは、人の行動を強制的にではなく、平和に変えることができる」という松村先生が、世の中にある様々な仕掛けと、その仕組みを解説する。
まずは、思わずしてしまうような人間の心理効果を利用した仕掛けを紹介する。大阪市にある天王寺動物園は、動物だけでなく、その生態や習性を見ることができる造りになっていることも大きな特徴。だが、動物に気を取られ、通路にある展示には気付かず、素通りしてしまう来園者も多い。なんとか通路の展示にも目を向けてほしいとあみ出された“思わず見てしまう”仕掛けとは!? また、「思わずゴミを捨てたくなるゴミ箱」や、「思わずお金を入れたくなる募金箱」、「思わずエスカレーターより階段を利用してしまう仕掛け」、さらには、成田空港第3ターミナルにある、他に類を見ない独特の仕掛けを取り上げる。
一方、トラブルを回避する“させない仕掛け”も紹介。エスカレーターでよく話題になる「左右どちらを空けるか問題」。なかでも、世界中から人が集まる空港では難題となる。そんな問題を解決する、人が思わず右側に立たないようになる仕掛けとは!?そのほか、長野県で実際に解決した「不法投棄がなくなった仕掛け」や、大阪市の製薬会社が成功した「壁に落書きをさせない仕掛け」を取り上げる。
スタジオでは、天王寺動物園で病気予防のために設置している消毒液を使ってもらうべく考えられた仕掛けをクイズで紹介。
「ハテナの自由研究」は、ブラックマヨネーズの「リカバリー王選手権」。見た目はさえない男性が、男の武器=自分の特技でどれだけ見た目をリカバリーできるかを競う好評企画。10人の若い女性たちが判定するが、今回も超個性派の男性が続々と登場する!
松村真宏(大阪大学准教授)
1975年大阪生まれ。大阪大学基礎工学部卒業。東京大学大学院工学系研究科修了。博士(工学)。現在、大阪大学大学院経済学研究科准教授。2004年イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校客員研究員、2012~2013年スタンフォード大学客員研究員。研究テーマは「仕掛学」や「ソーシャルメディアの影響力」など。データの分析から仕掛けの実装まで幅広く取り組んでいる。著書に『仕掛学』『ドーナツを穴だけ残して食べる方法』『社会知デザイン』など