東京からおよそ2000km南西にある沖縄県八重山諸島、その一番南にある、人が住む日本最南端の島、波照間島。周囲15kmほどで、車で15分もあれば一周できる楕円形の平らで小さな島だ。島の面積の三分の一はサトウキビ畑で、人口530人ほどの集落は島の中央部に集まっている。
台風から家を守るため、石垣と防風林で囲まれた昔ながらの集落にあるM家(依頼者である夫、妻、長男、祖母)は、56年前に建てられた沖縄の伝統的な赤瓦の古民家。家の中心に仏壇を構え、南北に部屋を分ける沖縄伝統の間取り。しかし家の中にはあちこちに段差がある上に、沖縄の伝統的な家ではトイレは離れにあるのが一般的で、母屋にはトイレも風呂場もない。膝の具合が悪い祖母は、母屋の段差をトイレのたびに行き来するのは危険なため、母屋の西側に建つ離れで寝起きしているが、トイレはそんな祖母の部屋からも十メートルほど離れた場所にしかない。また、寝る時以外は、家の戸が開けっ放しで、中には虫が入り放題。その虫を目当てにヤモリも入ってくる。
しかし、そんなことよりも深刻な問題が雨。波照間は雨が多いが、雨が降り出すと、決まって家中の天井から大量の雨漏りが発生。激しいスコールも多い島だけに、留守中であれば部屋が水浸しになる。M家は昔ながらの沖縄伝統の赤瓦の家。屋根の老朽化が進んだ上に、外来種の草が生えて、天井から雨漏りが絶えず、朽ちた天井にはダンボールを貼って応急処置をしている。しかし、いざダンボールを取り換えようとすると、天井からなぜか大量の土が落ちてくるなど、悩みは尽きない。
沖縄の古民家の趣を残しながら、祖母と一緒に家族が安心して暮らせる家を!そんなM家の叫びに立ち上がった匠だが、島には工事を請け負う工務店がなく、建築用の資材を売っている店もない。そんな無い無い尽くしの環境で果たして匠はどうやってリフォームするのか。
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~森の木の代弁者~
松永 務
アトリエMアーキテクツ 代表 / 一級建築士
自然素材を駆使して、木の温もりに包まれた心地よい家づくりを目指す。大胆さを持ちながらも落ち着いた風情を生み出し、独自の発想力を活かした店舗のリフォームにも定評がある。
株式会社 大興建設
沖縄県中頭郡