「ビフォーアフター」特別編!
番組で活躍する「匠」が世界のとんでもない物件を視察。
「匠」の度肝を抜く想像をはるかに超えた仰天リフォームが待っていました。
最初の視察は、日本からおよそ1万1000キロ離れたヨーロッパ最西端の国、ポルトガルのファフェ。
首都リスボンから北へ車で3時間ほど走った山間の小さな町です。
そこへ、日本からはるばる視察に向かった匠は…
自然素材の伝道師、瀬野和広!
自然素材の伝道師を驚かせたポルトガルの大自然。
山肌に張り付くように、無数の大きな御影石の岩が転がっています。
ヒビが入りやすい御影石が割れ、雨水などが流れる事によって角が取れ徐々に丸くなった結果、山の上に丸い大きな岩が残っているのです。
山道を進む匠の目の前に現れたのは、霧がかかると、天空に浮かんでいるように見える大きな岩。
標高650メートルの山の頂にあった塊は四方を巨大な岩で囲まれた家だったのです。
その奇妙な佇まいに「匠」も唖然。
4つに分かれた大きな岩を特に加工することもなく、そのまま構造体として活かして作り上げた家。
背後で回る風力発電の風車と相まって何とも不思議な雰囲気を醸し出しています。
外壁一面に貼られているのは、家の周辺に落ちていた石。
大きな岩と壁を同じ材料にして、建物と自然が一体化できるよう造られました。
建坪8坪ほどの家の中には、壁の3分の1を占める岩がそのまま内壁と外壁を兼ねています。
4つの岩の間が居住空間となり、岩を利用した収納空間や、暖炉まで作られています。
石は蓄熱するため暖房効率が高く山頂の冬も、暖かく過ごせるそう。
2階を支えるための柱や梁も、岩以外の素材は地元のオレンジの木材など自然素材を使って作られています。
岩に合わせて作っているため、部屋の広さも天井高もまちまちですが、親子5人が寝泊りできる部屋を確保。
窓の位置や形も、四角にこだわらずユニークな形で配置されています。
水は、家から離れたところにある井戸からポンプを使って、家のタンクに水を汲み上げています。
山頂に広がる岩だらけの庭には、井戸からポンプで汲み上げた水を使うプールも。
プールまでの配管は景色を崩さないように石で隠し、自然の景観を損なわないために配慮されています。
他の街に、石の家がごろごろあると聞き、早速、ファフェの街から車で3時間ほど離れたモンサントを目指します。
岩山の斜面に家々が張り付くようにある、そこはまさに、石で出来た集落です。
岩山の上の方から村を眺めてみると、岩が屋根のようになっている家が。
壁に利用している家だけではないことに「匠」も驚きを隠せません。
岩の家モンサントの住人が、家の中を見せてくれることになりました。
5年前、屋根が崩れ落ち、廃墟同然だった空き家を購入しカフェ兼住居としてリフォーム。
葺き直した屋根から、大きな岩の頭が覗いています。
家の中にある大きな岩は全部で5つ。
それらをそのままの形で残し、インテリアにうまく溶け込ませて生活しています。
とっても風変わりな、でも、この村ではよくある家。
高さ4.5メートル、天井まで届く巨大な岩は、1階から2階へまたがる、間仕切りの壁にも利用しています。
岩と岩の間の壁面には、岩の形に合わせた収納棚が作りつけられています。
続いての匠が視察に向かったのは日本からおよそ8000キロ離れた北欧の国、スウェーデン。
首都ストックホルムから西へおよそ400キロ離れた、グラスコーゲン自然保護区に、匠が目指すとんでもないリフォーム物件があります。
森と湖が広がる北欧の大自然に降り立ったのは「森の木の代弁者」松永務。
スウェーデンの森の中を歩く「森の木の代弁者」は、気持ちがリフレッシュしてリラックスできると語ります。
森が開けた湖畔にポツンと建つ山小屋。
元々誰も住んでいなかった、湖のほとりの古い山小屋を購入し、数年の歳月を掛けて主人自らリフォームを行いました。
一見、何の変哲もないように見えますが…
山小屋のリフォーム後、建てられた増築部分は、何とも奇妙な形をしています。
外壁には、ベイスギの木片がウロコの様に重ねて張られ、全体がうねり、平らな面が全くありません。
新築が禁止されている森林保護区にある山小屋を増築してできた別荘は、できるだけ自然に溶け込むように素材や形を考えられました。
外壁に使用されたベイスギは、自然に岩のような灰色になり、周囲に溶け込んでいます。
増築部分は9坪。
コンパクトなキッチンの奥にリビングが続きます
リビングの壁は、一面に古いトナカイの毛皮が貼られています。
スウェーデンの北部にいるサーミ族と呼ばれるトナカイの群れを飼う人々へのリスペクトの気持ちを現しています。
また、トナカイの毛皮は、自然の断熱材の役割も兼ねています。
キッチンに光を導く窓は、湖から家の中が見えないようにするために配置されています。
外からの景観を失わず、光を取り入れるだけでなく、調理をする人の目線に丁度湖が見えるよう配慮。
キッチンで使用する水は、近くを流れる小川の少し上流から引き、水圧で自然に水が流れてくるエコなシステムです。
ダイニングキッチンのこだわりはもう一箇所。
キッチンと食卓を同じ高さにし、立って調理する人と座って食事をする人の目線がちょうど合うように工夫されています。
元の山小屋は、ベッドルームとして使用されています。
夏は白夜になり夜が短いため、安眠できるようダークブルーに塗られています。
子供用のベッドは、紐を引くことで上げ下げでき、物置としても使用できます。
小川のすぐ脇に作られたお風呂は、小川や森など自然を満喫できる完全な露天です。
湯船は、日本の樽を参考に造られました。
露天風呂の脇には、夏に使う、水専用のシャワーも設置。
キッチン同様、その水はきれいな小川から直接引いています。
服やタオルが掛けておけるフックをぶら下げたシャワー横の壁は、奥行きを利用し、それ自体が便利な収納にもなっています。
お風呂の少し奥にあるトイレは、自然に溶け込むような形の家を作るために造られた試作品。
基本構造や、壁の曲線の実現方法をこの小屋で試しました。
「匠」に見せたい秘密があると、ご主人が床下のジャッキのハンドルを動かしはじめました。
すると、ワイヤーが引っ張られ、ワイヤーにつながれたレールが動き始めました。
増築部分の端が、まるで大きな虫が顔を出すようにゆっくりと延びていきます。
壁に大きな目のようにくり抜かれた窓が出現。
それは、森の中でうごめく角の生えた巨大な生き物のようです。
法律の制限で、増築した建物も小川から5メートル離さねばなりませんでした。
家の中から小川が見えるようするため、建物自体を宙に浮かせ可動式にすることで合法的に、敷地一杯まで使えるようにしたのです。
壁にトナカイの毛皮を張ったリビング側がそのまま、小川の方へずれていく仕掛けで、キッチンはそのままで、床だけを動かせます。
室内には手を加えることなく床下の簡単な操作で、部屋の広さが1.5倍になります。
外からは目のように見えた窓、そして、湖に面した大きな窓から素晴らしい眺めと、明るい日差しが手に入ります。
窓を開けると川の音が聞こえ風も入り自然を感じることができます。
昆虫の目に見えた窓は、実はこの窓はお風呂を見るために作られたもの。
昆虫の目に見えるデザインと、お風呂に入る子供を見守るためにあるという目的がフィットした素晴らしい出来上がりと「匠」も絶賛。
壁のスライド部分にどうしても空いてしまう隙間にも、対策が練られていました。
チューブを膨らませて隙間を塞ぐという、建築を離れた発想です。