その5 必殺仕事人
『必殺仕事人』になっていく中で、TBSからテレビ朝日にネットワークの変更※注1があったんですよ。TBSホームドラマは善意なんです。だから、こっちは善意じゃないということを逆手にやった。前期必殺はTBS型の番組だけど、変化に富む。後期必殺は定番化して、マンネリズムをあえて使ったという。必殺後期は、男前を出しまくったんです。中条きよし、三田村邦彦、村上弘明、京本政樹、…男前ばっかりです。その時から仕事人という名前が定着していくんですよ。もう一つ言えば、必殺も落ち着いてきたから色々変える必要がないと。

中でも、男前を定着させたのは中条と三田村。あの頃、僕の知り合いの人とか何十人かに番組視聴モニターをしてもらってたんですよ。電話かけて『どやった?』っていつも聞いてたんですね、出来上がりを。そしたら、みんな『中条ええなぁ』って言うたんですよ。ああこれはよかったなと。また、中条も三田村も大晦日の『必殺現代版』という特番にも出てもらって。大晦日の紅白歌合戦の裏で視聴率二桁とったんですよ。あの紅白全盛の頃の裏で二桁とるちゅうのは凄いことやったね。

※注1…1975年3月31日、朝日放送は長年ネットワークを組んでいたTBSを中心とするJNNから、日本教育テレビ(NET、現・テレビ朝日)を中心とするANNにネットワークを変更した。