スタッフの皆さんの英知と努力のおかげで、今日まで続けてこられました。今の時代、10年以上続けてドラマを作るのはなかなか難しいですが、これも藤田まことさんが残した功績だと思っています。この撮影所に来ると、いつもどこかに藤田さんがいらっしゃるような気がするんです。僕だけじゃなく、他のメンバーもみんな、そんな気配を感じながら演じていると思います。藤田さんから受け取ったバトンをしっかりと次の時代に渡していきたいですね。
いつも「おかえりなさい」と言っていただいて、血のつながりはないですけど、家族のような関係です。それぞれがプロの職人さんですし、僕らは皆さんを信じて身を任せて演じさせていただいています。スタッフの皆さんとこんなふうに付き合える僕らは恵まれていますね。その期待に応えられるように自分自身を磨いて、いい仕事人でありたいと思っています。
石原監督の演出も『必殺』の名物のひとつです。いつも役者の想像を超える演出をしてくれるので、演じている僕らもうれしいですね。僕らの想像を超えるということは、視聴者の皆さんの想像を超えるということでもありますから。これだけ長く続いたのは、監督の演出があってこそだと思います。
幻楼役の奥田さんとは初共演でした。ご自身で監督もやられる方ですし、以前から先輩として非常に尊敬しておりました。今回も、さまざまな場面で男としての「色気」を見せていらっしゃって、相手としてはこれ以上ない方だなと思いましたね。そんなに多くの言葉を交わしたわけではないですが、心の駆け引きを演技で作り出すのが僕らの仕事なので、しっかり向き合わせていただきました。
今回の『必殺仕事人』は、奥田瑛二さん・黒木瞳さんをお迎えして、さらにパワーアップした作品を皆さんにお届けできると思います。江戸の町に咲き誇る悪の華に仕事人がどう立ち向かうのか、ぜひお楽しみください。
今までいろいろなキャストの方々と共演するなかで、涼次のオリジナリティはしっかり表現したいと思ってやってきました。10年経ってやっとベースができた感じです。今回は、よりリアリティを求めて短髪に変えて無精ひげを伸ばしてみました。仕事人の中に一人くらい武骨な雰囲気のやつがいてもいいかな、と。これまでも髪をポニーテールにしてみたり、いろいろとやってきましたが、こうやって試行錯誤するのが『必殺』なのかな、と思っています。こういう挑戦ができるのも、長く続けてきた結果かもしれません。藤田まことさんには「こんな涼次になりましたよ」って伝えたいですね。
何年経っても、スタッフの皆さんが「おかえり」って迎えてくれることに変わりはないですね。僕らはまだ10年ですけど、スタッフの皆さんはその前から何十年も『必殺』をやってきたわけで、そこに僕らが参加させていただいてるので、あんまり変わった感じはしないんですよ。多少、耳が遠くなったかなって気はしますけど(笑)、フットワークは軽いし眼光はぜんぜん衰えてない。生涯現役ってね、こういう皆さんのためにあるような言葉です。スタッフの皆さんが元気だとやっぱりうれしいですよ。こっちも元気が出てきますし。
昔から中村主水には、「おめえは情にもろいところがあるから気をつけろ」と言われてきましたが、「三つ子の魂、百まで」というか、やっぱり涼次は情が深いんですよね。その意味で、今回は涼次の人間味がよく出てると思います。そのへんも含めてぜひ楽しんでいただきたいです。
今回の台本を読んで、リュウがすごく変化していたのに驚きました。心に抱える闇の部分が深くなったと感じましたね。リュウはこんなに変わったのに、自分はあんまり変わってないなって思ったりしました(笑)。きっと、今まで僕が知っていたリュウは、ほんの一部でしかなかったんですね。
『必殺』に参加させていただいてから4作目になりますけど、いちばん印象に残っているのは前回の現場に入って初日のことですね。やっぱり撮影初日はいつも以上に気合が入るんですよ。台本もしっかり覚えて行きました。でも、石原監督の演出で台本がガラッと変わって、覚えたセリフはひとつも言わないで、まったくちがうセリフをたくさん言うことになってしまって、すごく驚きました。松岡さんも「ぜんぜん覚えてきてないよ。どうせ変わるし」って冗談を言うくらい(笑)。これが『必殺』の現場なんだなって思いました。
今回のリュウは、いつもとちがう武器を持ったり大声を出したり、暴れまわります。それに、メイクもちょっと変えたりして、いつもとちがう演技ができたので自分でも楽しめました。一味ちがうリュウを、ぜひご覧になってほしいと思います。
『必殺仕事人2007』以来、自分も含め、皆さん、少しずつ変化をしているとは思うんですけれど、東山さんはいつお目にかかってもシュッとしていらっしゃって全然お変わりにならないですし、松岡さん、現場のスタッフの皆さんも、本当にお変わりにならないです。撮影所の空気も、何年経っても、いちばん最初にここに来たときと同じ緊張感と嬉しさを感じます。
ドラマが始まった頃は、時間が経ったらお菊という人が持つ色気のようなものが、自分にも少しはそなわるだろうかと思っていたのですけれど、今でもなかなかムズカシくて。色っぽさ、ムズカシイですね(苦笑)。石原監督をはじめ、スタッフの皆さんに支えていただきながら、ずっと奮闘している感じです。
今回の台本を読んで、「メザシ」という3文字を見たとき、ぐっと目をうばわれました。セットに入ると藤田まことさんの大きな存在に包んでいただいているような気がします。それもずっと変わらないです。
今回も、この『必殺』ならではの世界の中で、たくさんの人が笑ったり悲しんだり、命を落としたり、物語が進んでいきます。その人たちの生きる時間と空間、いろんな感情を余すところなくご覧いただきたいです。
今回が3作目になるんですが、20代のときに斬られ役で出させていただいた『必殺』シリーズに、仕事人として参加させていただけるのは本当にうれしいですね。陣八郎の「仕事」は、おでこをこすってコンと叩くだけの地味な仕留め方ですけど、なるべくそこに怒りだとか怨念だとか内面の感情が表現できればいいな、と思って演じています。
仕事人は人を仕留めるのが仕事ですから、現代劇にはしにくい内容だと思うんです。だけど、「光と影」っていう『必殺』の様式美の中で、極悪人たちを一瞬で倒すという痛快さと美しさを表現できるのが魅力だと思うんですよね。それに、ふつうの時代劇とはちがったデフォルメされた面白さもあるでしょう?いろんな要素が混ざり合っているところが楽しいですね。
石原監督は、もともとカメラマンだった人ですから、頭の中には映像のイメージが浮かんでいる方なんですよ。でも、現場では勢いでバババッと説明するので、初めて参加したときは何を言ってるのかさっぱりわからなくて(笑)。でも、まわりのスタッフの皆さんは一人もあたふたせずに、監督の頭の中にある映像を瞬時に理解して実現できる。プロフェッショナルだと思いましたね。今では僕も監督の言うことがわかるようになって、少しは成長できたかなと思っています。
今回のいちばんのみどころは、知念くん演じるリュウが大きな事件に巻き込まれることです。そこに仕事人のメンバーがどう関わってどう解決していくのかという展開の面白さがあります。ぜひご覧ください。