診察室
診察日:2004年4月27日
テーマ:『本当は怖いダイエット〜誰もが陥るかも知れない罠〜』
『本当は怖いむくみ〜死の渋滞〜』
『本当は怖いダイエット〜誰もが陥るかも知れない罠〜』
N・Aさん(女性) 21歳(当時)
OL(商社受付嬢)  
短大を卒業後、一流商社の受付嬢として採用されたN・Aさん。
ファッションモデル並みのプロポーションを持つ先輩に憧れ、食事制限によるダイエットを始めた。
食事は湯通しした温野菜が中心。さらに下剤や利尿剤を服用。体重も落ち、スリムな体を手に入れた。
しかし、そんなN・Aさんに様々な症状が現れてきた。
(1)顔のむくみ
(2)肌荒れ・かゆみ
(3)腕の筋肉痛
(4)少し歩くだけで疲れる
(5)体重は減っているのに、下腹部が膨らむ
(6)全身の虚脱
(7)心停止
偽バーター症候群
<なぜ、ダイエットをして偽バーター症候群に?>
「偽バーター症候群」とは、生きていくために必要不可欠な栄養素、カリウムが身体から失われ、最悪の場合は死に至るという恐ろしい病気。でも一体なぜN・Aさんの身体からカリウムが奪われたのか?原因は間違ったダイエットでした。まず湯通しした温野菜。野菜に含まれるカリウムは、湯通しすると水に溶け出す性質があるため、N・Aさんの体内では次第にカリウムが不足。さらに下剤と利尿剤の使用によって、ただでさえ不足していたカリウムが加速度的に排出されました。私たちの体の水分量はカリウムとナトリウムのバランスによって一定に保たれています。しかし、カリウムが不足し、ナトリウムの濃度が相対的に上がると、その濃度を一定に保つために細胞間に水分が流れ込んできます。それがむくみの原因となるのです。さらに、カリウムは神経と連携し筋肉を動かす働きをもっています。N・Aさんの極端なカリウム不足は、腕の筋肉痛から始まり、心臓を動かす筋肉の停止という恐ろしい事態を引き起こしました。下腹部の膨らみは内臓を支えていた筋肉の働きが衰え、腸が垂れ下がったためでした。
『本当は怖いむくみ〜死の渋滞〜』
K・Kさん(男性) 45歳(当時)
サラリーマン  
ゴールデンウィークに家族と車で帰省、渋滞に巻き込まれ計10時間も運転し続けたK・Kさん。
ここ最近は、残業につぐ残業で、働きづめ。疲労がたまっていました。そんなK・Kさんに様々な症状が現れてきた。
(1)足のむくみ
(2)胸焼けのような不快感
(3)咳と発熱
(4)激しい動悸
(5)息切れ
肺血栓塞栓症
<なぜ、足のむくみから肺血栓塞栓症に?>
K・Kさんを死に追いやった病は「肺血栓塞栓症」、いわゆる「エコノミークラス症候群」。長時間同じ姿勢をとり続けたことがきっかけとなり、突然死に至るという恐ろしい病気だ。K・Kさんが「肺血栓塞栓症」を患った原因は、あの大渋滞にあった。長時間同じ姿勢だった彼の太ももは常に座席に押しつけられ、筋肉が静脈を圧迫し続けていた。すると血液の流れは遅くなり、血管から水分が多くしみ出してしまう。運転中K・Kさんを襲ったむくみの正体は、この足に溜まった水分だった。さらにこの時、K・Kさんの足の静脈には、血栓が発生。車から降りた時、それまで流れの悪かった血液が一気に流れ出し、その衝撃で血管の壁からはがれた血栓が猛スピードで移動を開始。肺動脈で再びつまり、血管の流れを妨害。酸素不足になった肺は胸焼けのような不快感、咳や発熱など、風邪に似た症状を引き起こした。しかし、家族4人の中で、K・Kさんだけに血栓が出来た理由は何なのか?その答えは、K・Kさんの濃縮型血液。疲れやタバコ、油分の多い食事などの要因が重なり、ネバついた血液が血栓を作りだしていた。さらに飲み物を口にしなかったせいで血液はさらにネバつき、K・Kさんの足にはいくつもの血栓が発生。最後は血栓が肺動脈を封鎖し、心臓のショック症状を引き起こしたのだ。