|
『本当は怖い咳〜10年後の病魔〜』 |
|
T・Tさん(男性)/47歳(当時) |
|
サラリーマン |
息子の保育園で流行った咳がもとで、父親が肺炎にかかったT・Tさん。原因は肺炎クラミジア(性感染症のクラミジアとは異なる)とよばれる細菌。喉や肺に感染し、様々な呼吸系の病気を引き起こすものだった。程なくして、健康な身体が自慢のT・Tさん自身も、その肺炎クラミジアに感染。咳き込むようになったが、免疫力が強かった彼が肺炎になることはなく、咳も治まった。しかし、それから10年後、47歳のT・Tさんに突然、異変が・・・ |
|
(1)肺炎クラミジアに感染
(2)10年後に、胸の痛み
(3)発汗
(4)胸を締め上げる激痛 |
|
心筋梗塞 |
<なぜ、肺炎クラミジアから心筋梗塞に?> |
「心筋梗塞」とは心臓の冠状動脈の一部が詰まって、その先に血液が流れず、心臓の筋肉が壊死を起こす病気。最悪の場合、突然死をまねきます。しかし、日頃から運動をし、タバコも吸わず、健康が自慢だったT・Tさん。心筋梗塞をまねく生活習慣などなかった彼がなぜ?原因は10年前に息子から感染した「肺炎クラミジア」。なんと、10年前に消え去ったはずのこの細菌が、T・Tさんの体内で身を潜めていたのです。では何故、肺炎を起こすはずの肺炎クラミジアが、心筋梗塞の原因となっていたのでしょうか?そもそも肺炎クラミジアがT・Tさんの体内に忍び込んだのは10年前。息子の咳によって感染した肺炎クラミジアは、喉の気道に取りつき、炎症を起こします。しかし、抵抗力の強かったT・Tさんの体内では、肺炎クラミジアと闘うために免疫細胞のマクロファージが出動。肺炎クラミジアはマクロファージによって食べられ、炎症も治まったのです。しかし肺炎クラミジアの怖いところは、生命力が異様に強いこと。時として、マクロファージの中でひっそりと生き続けることもあるのです。一方、T・Tさんの心臓を取り巻く冠状動脈では、血管壁に小さな傷ができていました。これは40歳を越えた人なら誰にでもある普通のことですが、その傷口から血液中のコレステロールが血管壁に入り込んできます。このコレステロールを取り除こうとやってくるのが、マクロファージ。しかし、このマクロファージは、内部に肺炎クラミジアという爆弾を抱えていました。肺炎クラミジアを抱えたマクロファージは、正常なものに比べ、コレステロールをより多く食べる性質を持っています。その結果、コレステロールを食べ過ぎて肥大化し、ついには破裂。血管内に脂肪のこぶを作り、血液の通り道を狭めてしまうのです。こうなれば血管はいつ詰まってもおかしくありません。T・Tさんの胸の痛みや、発汗はその前触れだったのです。 |