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『本当は怖い痛風〜常識にひそむ罠〜』 |
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K・Aさん(男性)/39歳(当時) |
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会社員(大手広告代理店勤務) |
大のビール好きで、この20年、一日も欠かさず飲み続けていたK・Aさん。
ある日突然、猛烈な足の痛みに襲われ、病院に駆け込んだところ「痛風」と診断され、医者からビールをとめられました。
当初は指示通り、禁酒していたK・Aさんでしたが、一週間後には足の痛みも治まり一安心。その夜、上司の強引な勧めに思わず一杯口にしてしまったのをきっかけに、ビールを浴びるように飲む生活に戻ってしまいました。「まあ、痛風で死ぬことなんかないだろう」、そう思っていたK・Aさん。しかし、ほどなく様々な症状が現れてきた。 |
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(1)痛風
(2)ひざのしびれ
(3)手に力が入らない
(4)ろれつが回らない |
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脳梗塞 |
<なぜ、痛風から脳梗塞に?> |
「脳梗塞」とは脳の血管に血の塊が詰まる病気。その原因は高血糖、高コレステロール、高血圧などにあるとされています。しかし、K・Aさんは、血糖値やコレステロール値は正常の範囲内だったのです。一体なぜ脳梗塞になってしまったのか?謎を解くカギは、あの「痛風」にあったのです。痛風とは「高尿酸血症」、つまり血液中に含まれる尿酸の量が非常に多くなっている状態のこと。K・Aさんは痛風の痛みが治まったことで、回復に向かっていると思い込んでいましたが、実は尿酸値が高い状態は痛みが治まった後もずっと続いていたのです。そうとも知らず、以前にも増して大量のビールを飲み続けたために、血液中の尿酸の量が急激に増加していきました。
実はこの尿酸値の高さと脳梗塞は密接に関連しているという事が最新の研究によって明らかになったのです。尿酸値が高い人の場合、血管の動脈硬化が進むと同時に、血小板が集まりやすくなり、赤血球の数も増えていきます。その結果、大量の血小板と赤血球がくっつき合い、血液がドロドロした状態となり、血栓をつくり出してしまう。その血栓がK・Aさんの脳の血管を詰まらせたと考えられるのです。「ひざのしびれ」は脳の一部の血流が途絶え、足の感覚に異常が生じたもの。その後の異変も、脳の様々な場所で血栓が詰まったことで起きた症状だったのです。いずれの場合も、すぐに血流が回復したため、致命的なダメージを受けずに済みましたが、最後は大きな血栓が脳の動脈を完全に塞いでしまい、命を落とすことになったのです。「痛風では死ぬことはないだろう」、間違った常識がもたらした悲劇でした。 |