診察室
診察日:2004年7月6日
テーマ: 『本当は怖い便秘〜私の人生返して!〜』
『本当は怖い肩こり〜地獄への道〜』
『本当は怖い便秘〜私の人生返して!〜』
K・Mさん(女性)/29歳(当時) 専業主婦
30歳を目前に結婚、これから訪れるバラ色の結婚生活を夢見ていたK・Mさん。
ところが新婚生活が始まった頃から、便秘に悩まされるようになった。
「たかが便秘、薬で治すしかないか」と軽く考えていた彼女だったが、この便秘こそが壮絶にして果てしなき闘いの幕開けだった。やがてK・Mさんに様々な症状が現れてきた。
(1)便秘
(2)肌荒れ
(3)冷え性
(4)だるさ
(5)上記(1)〜(4)の症状が10年以上続く
(6)無気力
(7)複数の病院にかかったが症状が治まらない
橋本病
<なぜ、便秘から橋本病に?>
「橋本病」とは1912年に橋本策博士が発見した病気です。聞き慣れない名前ですが、実は日本人の30人に1人がかかっているといわれ、しかもその9割が女性なのです。橋本病とは一体どんな病なのでしょうか?私たちの体には喉の付け根の部分に、甲状腺という蝶の形をした臓器があり、ここで作られた甲状腺ホルモンが全身の細胞や臓器の新陳代謝を促しています。ところが、橋本病になると、原因はわかっていませんが、何らかの理由で免疫機能が異常をきたし、甲状腺を攻撃。甲状腺が炎症を起こし、破壊されてしまいます。その結果、甲状腺の機能が低下、ホルモンの量が減少し、全身にさまざまな症状をもたらすのです。便秘、肌荒れ、冷え性、さらにだるさや無気力感など、K・Mさんを襲ったさまざまな症状は、すべてこの甲状腺ホルモンの減少によって引き起こされたものでした。では一体なぜ、K・Mさんの橋本病は、複数の病院で検査を受けたにも関わらず、発見されなかったのでしょうか?実はそれこそがこの病のもっとも恐ろしいところ。橋本病など、甲状腺異常の病は、専門医でなければなかなか気づくことが難しいと言われているのです。さらにその症状も、便秘や肌荒れなど、一般的な婦人病とそっくり。ほとんどの人が婦人科、皮膚科、精神科などの病院を転々とする出口のない迷路に入り込んでしまいます。これこそ「ドクターショッピング」と呼ばれる悪循環。K・Mさんの場合、最初の便秘から20年も経ってから、総合病院で橋本病が発見されました。実は、橋本病でもK・Mさんのように全身に症状が出るのは3割から4割。多くの人々は炎症に気づかないまま、悪化させてしまいます。橋本病はきちんと薬を飲めば、症状は改善に向かいます。だからこそ病のサインを見逃さないことが重要なのです。
『本当は怖い肩こり〜地獄への道〜』
K・Mさん(男性)/57歳(当時) 会社員
定年を間近に控え、健康な体で幸せな老後を迎えたいと夫婦で願っていたK・Mさん。
1日20本のタバコはやめられないものの、体はしごく軽快そのもの。
毎年の健康診断でも、何の異常もなかった。
そんなK・Mさんの体調に、様々な症状が現れてきた。
(1)右肩がこる
(2)こりが痛みに
(3)声のかすれ
(4)咳
(5)顔の右側に汗をかかない
(6)右目が細くなる
(7)高熱
(8)血痰(けったん)
肺がん
<なぜ、肩こりから肺がんに?>
「肺がん」は数あるがんの中でも、もっとも死亡率が高く、日本人の死亡原因のトップという恐ろしい病です。K・Mさんの場合、その原因はやはりタバコにありました。30年にわたる喫煙によって、彼の肺はとんでもない状態になっていたのです。しかしサラリーマンであるK・Mさんは毎年、健康診断を受けていました。それなのになぜ、ガンが発見できなかったのでしょうか?実は肺がんは、通常のレントゲン検査では患部がろっ骨に隠れてしまったり、心臓の陰になったりと病巣の確認が難しいのです。さらに進行するまでほとんど症状が出ないのも肺がんの特徴。つまり最初から肺がんだと疑い、詳しい検査をしなければ発見しづらい、というのが現状なのです。 しかしK・Mさんが肺がんを疑うきっかけはありました。そのサインこそが右肩だけが痛む肩こり。実は右の肺の上部にガンが出来ていたK・Mさん。そこで大きくなった肺がんが右肩に近い神経や骨を圧迫。そのため右側にだけ、肩こりや痛みが生じたのです。声がかすれたのも、成長した肺がんが喉の横の声帯の神経を圧迫してしまったから。顔の右側に汗をかかなかったのも、右目だけが小さくなったのも、肺の右側にできたガンが、右側の汗やまぶたの動きをコントロールする神経に影響を与えたためだったのです。そして高熱の後、咳とともに出た血痰。これはガンの膨張にまわりの毛細血管が耐えきれなくなり、ついに切断、出血してしまったものでした。ここまで来ると、もはや手遅れ。もっと早い段階で肺がんを疑い、精密検査を受けていれば、死に至ることはなかったのかも知れません。