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『本当は怖い水虫〜魔の連鎖〜』 |
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K・Kさん(女性)/27歳(当時) |
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OL(大手メーカー営業部員) |
大きな契約を次々と成立させ社内での評価はうなぎのぼり、充実した毎日を送っていたキャリアウーマンのK・Kさん。ある日、右足が無性にかゆくなり、よく見てみると、水虫になっていた。
しかし、夏休み旅行を計画していた彼女は、まとまった休日をとるため、毎日のように残業をし、水虫を放っておいたのです。ところが、それと同時に、彼女の体内では信じられない事態が進行していた。 |
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(1)水虫
(2)皮がむけて赤くただれる
(3)足の甲の痛み
(4)足の甲が赤く腫れる
(5)関節痛
(6)高熱
(7)足が黒く変色
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壊死性筋膜炎(えしせいきんまくえん) |
<なぜ、水虫から壊死性筋膜炎に?> |
「壊死性筋膜炎」とは、筋肉を覆っている筋膜という部分に細菌が侵入し、細胞を壊死させてしまう病気です。でもただの水虫のはずだったK・Kさんが一体なぜ…。そもそも水虫の正体は白癬菌(はくせんきん)というカビの一種。K・Kさんの足の指の間にとりついた白癬菌は、皮膚の一番外側にある角層という部分を食べながら、角層の下にある表皮細胞に到達。細胞が菌に反応し、炎症を起こしていました。その結果、K・Kさんは足に激しいかゆみを感じ、さらに指の間の皮がめくれ、赤くただれたようになりました。ここでようやく薬局で買ってきた薬で治療を始めたK・Kさんですが、すでに手遅れでした。この時、白癬菌に冒された指の間は筋膜へと通じる傷口となっていたのです。そして、その傷口から白癬菌とは別の“ある細菌”が入り込んでいたのです。それは「溶連菌(ようれんきん)」と呼ばれる細菌。通常は人間の喉など、私たちの体内で共存しているごくありふれた菌なのですが、時として恐ろしい病気を引き起こすことがあります。さらに日々の激務によってK・Kさんの免疫力は大幅に低下していたため、足に侵入した溶連菌が急激に増殖。K・Kさんが感じた足の痛み、そして足の甲の赤い腫れは、溶連菌が出す毒素で足が炎症を起こしたものでした。さらにこの菌が恐ろしいのは進行が早いこと。血管に入り込んだ溶連菌は、血液から栄養をとって爆発
的に増えていくのです。K・Kさんに起きた関節の痛みや高熱といった症状は、溶連菌による大量の毒素によるもの。足がどす黒く変色したのも溶連菌の仕業。増えすぎた溶連菌が血管に詰まって血の流れを止め、細胞を壊死させてしまったのです。最終的に溶連菌は全身の血管をめぐり、すべての臓器の機能が停止。最初の足の痛みからわずか15時間後のことでした。
「壊死性筋膜炎」の致死率は、実に50%。発病後、数日以内で死に至る恐ろしい病です。しかし溶連菌が何故この病気を引き起こすのか。その原因も感染経路も、いまだわかっていないのが現状なのです。 |