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『本当は怖い虫刺され〜死の棘〜』 |
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K・Sさん(女性)/18歳(当時) |
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大学生 |
大学1年の夏、蚊にさされた跡が異様なほど腫れ上がってきたK・Sさん。
でも「ただ蚊に刺されただけ」と気にせず、そのまま放っておきました。
そんな彼女に気になる症状が現れてきました。 |
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(1)蚊に刺された跡が腫れ上がる
(2)発熱
(3)頻繁に発熱を繰り返す
(4)頬に水疱ができる
(5)ぶつけていない部分にもアザが出来る
(6)意識が朦朧とする
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慢性活動性EBウィルス感染症 |
<なぜ、虫刺されから慢性活動性EBウィルス感染症に?> |
「EBウィルス」とは、日本人の90%以上が持っていると言われる、ごくありふれたウィルス。多くの場合、EBウィルスは人間の血液中のリンパ球に入り込み、特に悪さをすることなく共存していきますが、ごくまれにEBウィルスによって異常をきたす人がいます。それが「慢性活動性EBウィルス感染症」。幼い頃、この「慢性活動性EBウィルス感染症」にかかったK・Sさんはよく熱を出したり、すぐ寝込んでしまうような弱い体質になってしまいました。しかし、それ以外は特に何も起こらず症状も軽かったため、この病にかかっていることすら気づかずに成長してしまったのです。そんなK・Sさんの「慢性活動性EBウィルス感染症」を劇症化させたのは、虫刺され、つまり蚊でした。蚊の唾液に含まれている成分がK・Sさんのリンパ球に潜んでいたEBウィルスを活性化させ、それに伴いリンパ球も過剰反応を開始。刺された皮膚に激しい炎症を発生させたのです。こうなるとリンパ球は他のささいな刺激に対しても過剰反応を起こすようになります。K・Sさんの顔にできた水疱は紫外線の刺激でリンパ球が活性化したもの。すねをぶつけたのに、ふくらはぎに出来た奇妙なアザも、足をぶつけた刺激によってリンパ球が活性化。広い範囲の血管が破壊され、ふくらはぎにまで達する炎症となったものでした。しかし、この段階でも病の存在に気づかなかったK・Sさん。再び蚊に刺されたことによって、それまで辛うじてK・Sさんを支えていた免疫システムがついに限界に達し、K・Sさんは還らぬ人となってしまったのです。蚊などの虫刺されによってEBウィルスが活性化してしまう事実がわかったのは、十数年前。現在もほとんどの人がこの病の存在自体に気づいていないのが現状なのです。 |