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『本当は怖いかぶれ~母を襲った赤い悪魔~』 |
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I・Yさん(女性)/36歳(当時) |
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主婦 |
夫が単身赴任中のため二児の母として家を守り、PTAの役員もこなす忙しい毎日を送っていたI・Yさん。子供たちは育ち盛りだからと、食卓には毎日のように肉料理が並んでいました。
そんなある日、着替えようと服を脱いだ時、左の乳房の脇が赤くかぶれているのに気づいた彼女。さらに様々な異変が襲います。 |
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(1)乳房の脇にかぶれ
(2)赤みが広がる
(3)左右の乳房の大きさが違う
(4)脇の下に違和感
(5)赤みが広がる
(6)乳房の皮膚が硬くなる
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炎症性乳ガン |
<なぜ、かぶれから炎症性乳ガンに?> |
「炎症性乳ガン」とは、通常いわれる乳ガンとはまったく異なるタイプの乳ガンです。一般にいう「乳ガン」は乳房の乳腺にでき、そこで大きくなるガンのこと。一方、炎症性乳ガンは、ガン細胞が皮膚のリンパ管に入り込み、乳房全体に広がっていくガンなのです。I・Yさんの乳房にできたあの赤みは、ガン細胞によってリンパ管がつまり、リンパ液がせき止められたために起こったものでした。さらに炎症性乳ガンは、ガン細胞が乳房全体に広がっていくため、乳房の皮膚が硬くなるのが特徴。決して、「しこり」だけが乳ガンのサインではないのです。しかし、I・Yさんは婦人科で診察を受けた際「乳腺炎」と診断されました。どうしてガンであることがわからなかったのでしょうか?実は初期の炎症性乳ガンと乳腺炎の症状は非常に良く似ており、見分けがつかないことが多いのです。お医者さんから「症状が改善しなかったら必ず来て下さい」と指示されたにも関わらず、忙しさにかまけてついつい病院に行くのを怠ってしまったI・Yさん。その間にもガン細胞はリンパ液に乗って四方へと散らばっていきました。I・Yさんが脇の下に感じた違和感。あれは脇の下のリンパ節にガンが転移したためでした。この間、わずか2ヵ月。このスピードこそが炎症性乳ガンの最大の恐怖。リンパ管にガン細胞が入り込む炎症性乳ガンは、一般的な乳ガンと比べて進行が早く、全身に転移する危険性も高いのです。入院から1年、懸命の治療もむなしく、I・Yさんはガンが全身に転移、帰らぬ人となってしまいました。なぜ乳ガンができるのか?その詳しいメカニズムはまだ解明されていません。ただI・Yさんのように肉料理などの高カロリーの食事が多い人、そして年齢的には40代の女性に発症する率が高いというデータがあります。炎症性乳ガンは、その前兆を見逃されやすいガンですが、定期検診をきちんと受けていれば、早期発見は十分に可能なのです。 |