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『本当は怖い腰痛~見落としたハザードランプ~』 |
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I・Kさん(男性)/58歳(当時) |
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タクシーの運転手 |
無事故無違反の安全運転を続けて30年になる模範的なドライバー、I・Kさん。
いけないとわかっていても、お客さんが降りた後の一服と仕事終わりの脂っこい食事が止められないでいました。
そんなI・Kさんには半年ほど前からしつこい腰痛が続いていましたが、仕事がら仕方がないと半分諦めていました。しかし、油断の陰で恐るべき病が進行していたのです。 |
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(1)腰痛
(2)腰痛が長く続く
(3)足のしびれ
(4)寝ていても腰が痛む
(5)尿が出ない
(6)便が出にくい
(7)強い腰痛
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腹部大動脈瘤(ふくぶだいどうみゃくりゅう) |
<なぜ、腰痛から腹部大動脈瘤に?> |
腹部大動脈瘤とは、全身に血液を送っている大動脈がお腹の中でコブ状に膨らんでしまう病。I・Kさんがこの病に冒されてしまった原因は、彼の生活習慣にありました。長年の喫煙、高カロリーの食事、そして運動不足。これらによってI・Kさんは、高血圧になっていたのです。心臓のポンプの力で全身に送り出される血液。しかし、I・Kさんのように高血圧になると送り出される圧力が高くなり、血管が劣化、いわゆる動脈硬化を引き起こしてしまいます。この動脈硬化の影響が最も出やすい場所の一つが、腹部大動脈。常に大量の血液が流れている、この動脈の壁がいったん弱くなると、そこに大きな圧力がかかり、次第に瘤状に膨れあがってしまうのです。ではなぜ、腹部大動脈瘤が出来ると腰が痛むのでしょうか?それは大きくなったコブで、脊髄を圧迫するため。だからこそ横になっても腰の痛みが治まらなかったのです。そしてこの腹部大動脈瘤は、通常のレントゲンにはほとんど映りません。そのため整形外科でも発見されなかったのです。こうして成長を続けたI・Kさんのコブは、ついに直径10センチを超えてしまいます。尿が出にくくなったのは、巨大化したコブが尿の通り道である尿管を圧迫したため。便意はあるが便が出ないという症状も、大腸を圧迫したために起きたものでした。ここまで来ると大動脈瘤は、いつ破裂してもおかしくない状態。そして腰を伸ばそうと身体を反らしたあの時、圧迫された腹部大動脈瘤がついに破裂。失血性のショックで命を絶たれてしまったのです。破裂してしまうと、その7割以上が死に至るといわれるこの病。ほとんどの人は、病院への搬送中に亡くなっています。だからこそ、破裂する前の発見が、生死を分かつ重要なポイントとなるのです。 |