『本当は怖いインフルエンザ~今、そこにある危機~』
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ここ数年、日本、そしてアジア各国で猛威を振るっている恐怖のウィルス、鳥インフルエンザ。しかし、その本当の恐ろしさを皆さんは知っていますか?1918年、スペイン風邪。世界中でおよそ5億人が感染。4000万人が死亡。1957年、アジア風邪。およそ100万人が死亡。さらに、1968年、100万人が命を落とした香港風邪。かつて人類は3度、絶滅の危機に瀕しています。その全ての原因は、鳥インフルエンザが進化した、新型インフルエンザだったのです。そして、今、第4の危機が・・・人類史上最強の新型インフルエンザが今まさに襲いかかろうとしているのです。
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【ケース1】 |
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アンソニー・チャン(仮名)/3歳(当時) |
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幼稚園児 |
1997年、香港で「H5型・鳥インフルエンザ」の感染が発生。
幼稚園に通い始めたばかりのアンソニー・チャン君(3歳・仮名)が死亡。
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(1)発熱と腹痛
(2)40度の高熱
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高病原性鳥インフルエンザ |
高病原性鳥インフルエンザとは、いわゆる鳥インフルエンザ。そもそもインフルエンザウィルスとは、全て、もともとは渡り鳥が持っているウィルス。この鳥インフルエンザには、H1からH15まで、全部で15のタイプがあります。この中で、これまで人類に感染したのは3つのタイプだけ。スペイン風邪を引き起こしたH1型。アジア風邪のH2型。そして香港風邪のH3型です。そう、新しいウィルスが最初に人間界に侵入してきたときには必ず大惨事が起こっているのです。
アンソニー君が感染していたのは、これまで人間界に侵入してきたことのないH5型。もし、このH5型ウィルスが過去に大惨事を引き起こした3つのウィルスのように鳥型から人間型に進化していたら・・・その場合、わずか1週間でウィルスは世界中に蔓延し、なんと世界人口の半分に当たる30億人が感染。死者は5億人にものぼると予測されました。これこそパンデミックと呼ばれる世界大流行の恐怖なのです。しかし、幸いにもアンソニー君に感染したH5型鳥インフルエンザウィルスは人間型に進化してはいませんでした。しかし、これで終わったわけではありませんでした。
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【ケース2】 |
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ノイちゃん(仮名)/11歳(当時) 母親のカイさん(仮名)/26歳(当時) |
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2004年、タイで再び「H5型・鳥インフルエンザ」の症例が報告される。
カンペンペット県の農村に住む少女、ノイちゃん(11歳・仮名)が死亡。
さらに、看病をした母親のカイさん(26歳・仮名)も同じH5型・鳥インフルエンザによる肺炎で死亡。
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<ノイちゃんの場合> (1)咳 (2)高熱
<母親の症状の場合> (1)悪寒 (2)40度の高熱 (3)肺炎
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高病原性鳥インフルエンザ |
[ケース2]で大きな問題となったのはノイちゃんの母親の死亡。ノイちゃんのH5型インフルエンザは鳥から直接、感染したものと特定できたのですが、母親のカイさんは都会へ出稼ぎに行っていたため、鳥と濃厚な接触は考えられませんでした。そこで疑われるのはノイちゃんからの感染。つまり、それは人から人への感染。最も恐れていた新型インフルエンザの発生です。この事態を重く見たタイ政府およびWHOは徹底的に調査を行いました。その結果、「今回のケースでは人から人に感染した可能性があるものの、その感染は家族間に限られていて、それ以上の社会的広がりは現在のところ見られない。」という内容が報告されました。現在、世界各国の研究機関により、娘から母親に感染したウィルスが、人型に進化したかどうか、慎重な分析が行われています。しかし、詳細は今もって調査中だといいます。WHOは、さらにこう続けています。「新型インフルエンザの発生は、我々にはとめることができない。問題はそれがいつ起きるのか、ということである。」
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