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『本当は怖いスランプ~破滅へのゴールテープ~』 |
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Y・Hさん(女性)/30歳(当時) |
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主婦 |
学生時代に陸上の中距離選手だったY・Hさんは、3年前、ハーフマラソンで3位に入賞。以来マラソンのとりこになり、全国的にも有名な大会での入賞をめざしトレーニングに励んでいました。しかし、半年が過ぎた頃、調子は悪くないのに何故かタイムが落ちてしまいます。スランプを乗り切るには練習あるのみと練習量を倍にした彼女ですが、記録が伸びないばかりか、次々と異変に襲われます・・・。 |
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(1)風邪を引きやすい
(2)体重の減少
(3)胸が締めつけられる
(4)不整脈で倒れる
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運動性慢性疲労 |
<なぜ、スランプから運動性慢性疲労に?> |
運動性慢性疲労とは、過度の運動により心臓をはじめ、体中のあらゆる臓器がその限界を超えてボロボロになってしまう深刻な病。Y・Hさんの場合、その存在をいち早く知らせるサインが、あのスランプ。タイムが落ちたその陰で、彼女の体は着実に壊れはじめていたのです。全ての原因は、1年も前から自己流で行っていた無謀なトレーニングにありました。それはまず彼女の喉を直撃しました。呼吸が速くなるにつれ、喉を通る空気のスピードも速くなります。空気が狭い喉を通過する時の速さは、なんと、時速50キロから150キロにもなります。その速い空気によって喉の細胞がはがされ、病原菌に感染しやすくなってしまったのです。これが風邪を引きやすくなり、しかも治りづらかった原因。さらに無謀なトレーニングによってY・Hさんがダメージを受けたのが、すい臓でした。そもそもすい臓とは、栄養吸収に必要な酵素などを分泌する重要な臓器です。ところが長期間激しくランニングをすると、脊椎のすぐ前に位置するすい臓は、かかとの着地の衝撃を長く受け続け、機能が低下。そのため、食べたものの消化や吸収を助ける酵素が正常に分泌されず、小腸での栄養の吸収が充分に行われなくなってしまったと考えられているのです。これが激ヤセの原因。そして病魔はついに心臓に襲いかかりました。その心臓の動きに影響を与え、脈拍をコントロールしているのが自律神経です。しかし過度の運動によって、Y・Hさんの自律神経には異常が生じていました。そんな時、突然のショックで心臓の動きが乱れ、不整脈を起こしてしまったのです。幸い、病院に運ばれるのが早かったため、Y・Hさんは九死に一生を得ることができました。いまや体を鍛えれば鍛えるほど、丈夫な体になるというのは幻想に過ぎません。現在、日本には間違ったトレーニングで内臓を痛めている人が、200万人もいると言われます。スポーツは、骨折やケガだけではなく、内臓こそ最も注意しなければならないものなのです。 |