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『本当は怖い歯茎の出血~トラック野郎の悲劇~』 |
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B・Jさん(男性)/51歳(当時) |
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トラック運転手 |
トラック運転手のB・Jさんは、人生太く短く、が信条で、型にはまった生活が大の苦手。長時間の運転にタバコは欠かせず、酒も毎晩飲む毎日を続けていましたが、ある日、歯茎からの出血に気づきます。特に痛みもないため、軽い歯槽膿漏だと思って放っておきますが、やがてさらなる異変があらわれます。 |
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(1)歯茎からの出血
(2)歯茎の腫れ
(3)歯がぐらつきシクシク痛む
(4)脈打つように痛む
(5)唇の感覚がなくなる
(6)口が開かない
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歯肉癌(しにくがん) |
<なぜ、歯茎の出血から歯肉癌に?> |
歯肉癌とは、歯肉、つまり歯茎にできる癌のこと。現在、この歯肉癌に冒される患者は、年間2000人以上。50代以上の男性に多く、その数は年々増え、30年前と比べるとおよそ3倍と言われています。では何故、B・Jさんは歯肉癌に冒されてしまったのでしょうか?口の中にできる癌の主な原因は、タバコとアルコールと言われています。B・Jさんはタバコを1日に2箱以上、アルコールは毎日3合飲む生活を25年以上も続けていました。発ガン性物質であるタバコのタールやニコチンは、血行を悪くし、直接歯肉の粘膜を刺激します。さらにアルコールも同様に粘膜を直接刺激。この刺激が長年続くことにより、歯肉の細胞の遺伝子が突然変異し、ガン化してしまったのです。実際、B・Jさんのような生活習慣をしていると、ガンができる確率は2,5倍も増すと言われています。最初にB・Jさんに現れた、歯茎からの出血や腫れ。あれは歯茎にできた癌細胞が成長するために、新しい血管を作り出し、その血管が表面で出血。さらに癌細胞の成長に伴い、歯茎の腫れとなって現れたのです。しかし当のB・Jさんは、単なる歯槽膿漏だと思っていました。実はこれが歯肉癌の恐ろしいところ。歯肉に炎症を起こす歯槽膿漏も同じように出血し、腫れるため、勘違いしてしまうことが非常に多いのです。この時、歯槽膿漏といえどもちゃんと検査していれば、最悪の事態は免れていたかも知れません。やがて何も知らないB・Jさんの口の中で、大きく成長した癌は歯槽膿漏との違いを見せ始めます。それが唇の感覚がなくなるという症状。この時、癌細胞は、唇から歯肉に通じる神経をも冒し始め、麻痺を起こしたのです。これは決して歯槽膿漏では現れない症状です。そして最終警告。癌細胞が歯茎から口を開ける筋肉にまで進行。ついには口を開けることが出来なくなってしまったのです。幸いB・Jさんは、転移がなかったため、一命を取り留めることが出来ました。しかし、歯肉癌を取り除くために取られた措置は、下あごの半分を摘出するというもの。歯肉癌は早期発見が難しいため、あごの摘出にいたる患者が意外と多いのです。たかが歯槽膿漏と放っておいたことが引き起こした悲劇でした。 |