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『本当は怖い生理不順〜Wの悲劇〜』 |
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Y・Tさん(女性)/52歳(当時) |
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専業主婦 |
現在、体重は80kg。中年の肥満は万病のもとだと思い、スイミングスクールに通って健康増進に励んでいたY・Tさん。とはいえ、プールの後は必ず仲間と雑誌やテレビで見つけたお店にランチを食べに行くのがおきまりのコース。そのため、体重は一向に減りません。そんな彼女に小さな異変が・・・。普段なら4,5日で終わる生理が長引き、10日も続いていたのです。これぐらいは以前からよくあったことと気にもしていなかったのですが、半年が過ぎた頃から、新たな異変が訪れます。 |
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(1)生理が長引く
(2)生理が早まる
(3)短い生理が続く
(4)生理以外の出血(不正出血)
(5)胸のしこり
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乳癌、子宮体癌(しきゅうたいがん) |
<なぜ、生理不順から乳癌、子宮体癌に?> |
「子宮体癌」とは、子宮の奥の部分、子宮体部が癌に冒されてしまう病。閉経前後、50代の女性が一番多く発症する病気です。Y・Tさんは、生理が長引いたり、早くなったり、短い生理が続くなどの生理不順や不正出血に悩まされていました。実はこの一連の症状こそ、子宮体癌を知らせるサインだったのです。しかし、更年期障害と勘違いして、そのまま放っておいたY・Tさん。その体内では癌がみるみる成長。ついに新たな異変が起きてしまいます。それが乳癌でした。実はこの2つの癌、転移した癌ではなく、同時に発症する「重複癌」と呼ばれるもの。Y・Tさんの場合、乳癌が子宮体癌を知らせる最終警告となったのです。それにしても一体なぜ、同時に二つの癌が発症してしまったのでしょうか?鍵を握っているのは、女性ホルモン。実は乳癌も子宮体癌も、女性ホルモンのバランスの乱れが、共通の原因の一つ。そのため、2つの癌が同時に発症しても、何ら不思議はないのです。子宮体癌から乳癌が発見されたり、その逆にY・Tさんのように、乳癌から子宮体癌が発見されるケースも数多く報告されています。ではなぜ、女性ホルモンのバランスが乱れてしまったのでしょうか?原因は、彼女の肥満にありました。女性ホルモンは、通常、卵巣から分泌されます。しかし、実は別の場所でも作られているのです。それが脂肪細胞。卵巣からの女性ホルモンは、生理の周期に合わせて分泌されますが、脂肪細胞からの女性ホルモンは、常時、分泌。脂肪細胞をたくさん抱えていたY・Tさんの身体では、常に女性ホルモンが分泌され続けていたのです。そして、その影響を真っ先に受けたのが子宮でした。こうして、Y・Tさんの子宮は過剰なホルモンにさらされ続け、ついには癌が発生してしまったのです。癌が見つかってから、早速摘出手術を受けたY・Tさん。幸い早期発見だったこともあり、手術は成功。彼女は一命を取り留めました。現在、女性の肥満が増える中、子宮体癌は20年前の3倍以上、乳癌も2倍以上に増加。と同時に、重複癌の症例も年々増えてきているのです。 |