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『本当は怖い肩こり〜柔らかい悪魔〜』 |
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K・Tさん(女性)/49歳(当時) |
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OL(大手商社勤務) |
経理畑一筋、面倒見がよく、若手社員にとって頼もしいお母さん的存在だったK・Tさん。
唯一の趣味はインターネットで、友人とのメールに熱中し、夜更けまでパソコンに向かうこともしばしば。そんな時、決まって彼女を悩ませるのが、肩こり。それも右側だけがやけにこるような気がしていました。若い頃から姿勢が悪く猫背気味だったK・Tさん。経理という仕事柄、肩こりは仕方ないと諦めていましたが、数日後、新たな異変に襲われます。 |
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(1)肩こり
(2)指先がしびれる
(3)午後になると肩こりがぶり返す
(4)再び指先がしびれる
(5)失禁
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頸椎椎間板(けいつい ついかんばん)ヘルニア |
<なぜ、肩こりから頸椎椎間板ヘルニアに?> |
頸椎とは、背骨の首の部分にあたる骨。「頸椎椎間板ヘルニア」は、この骨と骨の間でクッションの役目を果たす椎間板が、何らかの原因で出っ張ってしまい、脊髄や神経を圧迫。様々な障害が出る病です。K・Tさんを悩ませた、あの右の肩こり、そして右手の指のしびれは、飛び出した椎間板が右の上半身の運動を司る神経を圧迫したため、起きていたのです。ではなぜ、彼女の頸椎の椎間板は、出っ張ってしまったのでしょうか?その原因の一つとして考えられるのが、長年にわたるあの姿勢の悪さでした。姿勢のよい人の場合、背骨はゆるやかにS字状のカーブを描き、4キロ近くある頭の重さを自然に支えています。ところが、元々猫背気味だったK・Tさんは、会社でのデスクワークに加え、深夜までパソコンに向かう日々の中、さらに姿勢が悪化。背骨のカーブがいびつな形となり、頸椎に大きな負担がかかっていたのです。ではなぜ、症状は朝には見られず、午後になると現れたのでしょうか?実はこれこそ、頸椎椎間板ヘルニアの特徴。夜、寝ている間は、頭の重みが頸椎にかかりません。しかし、朝になり、起きあがって活動すると、頭の重さが一気に頸椎にのしかかり、椎間板を強く圧迫。その結果、全ての症状が、午後になると現れたのです。そして、この病の恐ろしいところは、痛みが必ずしも強くないので、ついつい放っておいてしまうこと。ところが、これに小さな一押しが加わるだけで、症状が劇的に悪化してしまうのです。K・Tさんの場合は、くしゃみ。くしゃみのちょっとした衝撃で、ついに椎間板が脊髄を圧迫。その結果、上半身だけでなく、下半身の神経までもが麻痺。膀胱がコントロールできず、失禁してしまいました。そして最後の瞬間。今度は足の筋肉が突っ張り、そのまま転倒。その衝撃で、椎間板の中身が完全に飛び出してしまったのです。幸い緊急手術によって、K・Tさんは、首から下が麻痺する最悪の事態は免れました。このような頸椎の病は、生活スタイルの変化により、高齢者だけでなく若年層にも広がっているのです。 |