 |
『本当は怖いお腹のはり~むなしき愛読書~』 |
 |
K・Kさん(男性)/48歳(当時) |
 |
書店経営
|
商店街で書店を営むK・Kさんが最近、夢中になっているのは健康。暇さえあれば、店の医学関係の本を読み漁る一方、年に1度は必ず人間ドックで検査を受けていました。その年もコレステロール値が少し高い以外は、大きな異常がなくほっと一安心。しかし、人間ドックから1週間ほどたった頃、下腹部に“軽いはり”を感じます。それでも、おならをするとお腹はスッキリしたため、特に気にとめていなかったK・Kさん。ところが、3ヶ月が過ぎた頃から、新たな異変が現れます。 |
 |
(1)お腹のはり
(2)右下腹部がキリキリ痛む
(3)激しい嘔吐
|
|
陥凹型結腸癌(かんおうがた けっちょうがん) |
<なぜ、お腹のはりから陥凹型結腸癌に?> |
「陥凹型結腸癌」とは、最も発見が困難とされる大腸癌の一種。通常の大腸癌は「隆起型」と言って、ポリープが何年もかけて大きくなり、その一部がゆっくりと癌化し増殖。そのため、癌細胞が大きくなると、癌に便がこすれ、血液が付着します。便に血が混じったり、排便時に出血するのは、この隆起型大腸癌の特徴なのです。一方、陥凹型結腸癌は、腸壁の内側の正常な粘膜が突然癌化し、クレーターのようにくぼんで出来るのが特徴。癌そのものがくぼんでいるため、便が通過しても、出血はほとんどありません。これこそが、この病の最大の落とし穴。陥凹型結腸癌は、便に血が混じらないことが多いのです。さらに、この癌の場合、通常の人間ドックの検査では発見が難しく、内視鏡検査で初めて見つかることが多いのです。そればかりか、K・Kさんは自分勝手な解釈で、病を誤解し続けていました。最初にK・Kさんを襲った、お腹のはり。あれは癌細胞の増殖によって、腸管が狭くなったため、ガスがたまっていたのです。そして下腹部のキリキリするような痛み。大腸で、陥凹型の癌がもっとも多く発生する場所は、右側の結腸。K・Kさんの場合も、増殖した癌によって結腸が圧迫され、便が通りにくくなったため、あの痛みを感じたのです。そして、最終警告となった嘔吐は、さらに肥大化した癌が便を詰まらせ、その結果、腸に大量の消化物がたまったため。この癌が恐ろしいのは、発見が難しいばかりか、通常の隆起型の大腸癌に比べ、進行が早く、さらに他の臓器に転移しやすいこと。そのため、発見された時には、手遅れになっている場合が多いのです。K・Kさんの場合も、すでに肝臓に転移。治療が続けられましたが、2年後に再発。帰らぬ人となってしまいました。日本でも、年々、増え続ける大腸癌。2015年には、胃癌や肺癌を抜き、大腸癌がトップに躍り出ると予測されています。そのため、40歳を過ぎたら、通常の人間ドックの検査だけではなく、腸の内視鏡検査もぜひ必要だと言われているのです。 |