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『本当は怖い咳〜浮遊する悪魔〜』 |
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S・Nさん(女性)/43歳(発症当時) |
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専業主婦 |
夫の転勤で初めて東京に引っ越してきたS・Nさん(43歳・女性)は、希望に満ちた新生活に胸をときめかせていましたが、新居となったマンションは幹線道路に面していたため騒音と排気ガスがひどく、田舎育ちの彼女にとってはつらいものでした。せめて部屋に潤いを持たせようと、彼女は観葉植物を買い込み、リビングや台所、寝室など家のあちこちに飾りますが、1年が経った頃、なぜか咳き込むことが多くなります。特に痰が出るわけではないため、市販の風邪薬を飲むことにしたS・Nさんですが、その体内では恐ろしい病が進行していました。 |
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(1)咳
(2)咳がぶり返す
(3)息が吸いづらい
(4)再び咳がぶり返す
(5)激しい咳
(6)呼吸困難
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アレルギー性気管支肺真菌症 |
<なぜ、咳からアレルギー性気管支肺真菌症に?> |
「アレルギー性気管支肺真菌症」とは、カビを大量に吸い込んだことで気管支と肺がアレルギー反応を起こし、呼吸困難などの症状を引き起こす病。ではS・Nさんが吸い込んだカビは一体どこから来たのでしょうか?なんと犯人は、自宅の部屋の中にいました。カビの発生源は彼女が飾りつけた観葉植物の土だったのです。しかし、アレルギー性気管支肺真菌症は、カビが大量発生しなければ、重い症状を引き起こしません。ではなぜ、S・Nさんのマンションでは大量発生してしまったのでしょうか?その原因は、彼女の間違った観葉植物の育て方にありました。まず一つは、狭いマンションの室内に大量の観葉植物を持ち込んでしまったこと。次に日当たりが悪い場所に観葉植物を多く置いていたこと。さらに排気ガスを嫌い、窓を閉め切り、換気が悪くなっていたことも問題でした。この条件がすべて重なった結果、カビが繁殖するには絶好の環境ができてしまったのです。やがて大増殖を始めたカビは、次々と空気中に胞子を飛ばし、部屋中に充満します。元々、弱いアレルギー体質だったS・Nさん。カビを日々、大量に吸い続けたことで、ついにアレルギー症状を発症してしまいました。そしてS・Nさんを襲ったのが、あのしつこい咳や息が吸いづらいといった症状。この時、S・Nさんの体内では侵入したカビに対し、免疫細胞が過剰に反応。気管支が炎症を起こしていたのです。そして彼女は、さらに致命的な過ちを犯していました。それは寝室として使っていた和室に観葉植物を置いてしまったこと。寝室は1日のうちで3分の1近く、最も多くの時間を過ごす場所。ここに大量のカビを繁殖させてしまったのです。そうとも知らず、久しぶりに実家から帰ってきたS・Nさんは、床にたまった大量のカビを一気に吸い込んでしまいました。すると彼女の気管支では激しいアレルギー反応が起き、粘膜から痰が大量に分泌。その結果、気道が完全に塞がれてしまい、呼吸ができなくなってしまったのです。幸いにもS・Nさんは一命を取り留めました。しかし事前に自分のアレルギーを知り、正しく対処していたら、ここまでの事態にはならなかったのです。アレルギー性気管支肺真菌症は、20代から40代の女性に多く発症する病。そしてカビが最も繁殖しやすいのは、梅雨から夏にかけて。そう、この季節、家で過ごすことが多い主婦こそ、注意しなければならないのです。 |