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『本当は怖い腰痛〜張りつめた糸〜』 |
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M・Nさん(女性)/ 38歳(当時) |
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会社員(ホームセンター勤務) |
半年前に夫と離婚、育ち盛りの子どもたちを養っていくため、地元のホームセンターに再就職したM・Nさん。慣れない仕事で戸惑うことばかりでしたが、最近、腰痛を感じるようになりました。疲れが腰にきたに違いないと、軽く考えていた彼女ですが、それからも異変は続きました。 |
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(1)腰痛
(2)足の痛み
(3)腰や足の痛みが悪化
(4)頻尿
(5)足の力が抜ける |
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脊髄終糸症候群(せきずいしゅうし しょうこうぐん) |
<なぜ、腰痛から脊髄終糸症候群に?> |
「脊髄終糸(せきずいしゅうし)」とは、脊髄の末端から伸びる、長さ15センチほどの部分。身体の姿勢に合わせて、ゴムのように伸び縮みしています。しかし中には、脊髄終糸が生まれつき硬い人がいて、姿勢を変えるたびに脊髄終糸が伸びない分、脊髄全体が引っ張られてしまいます。「脊髄終糸症候群」とは、無理に引っ張られ続けた脊髄に障害が起き、そこから伸びる神経の行き先で症状が出る病なのです。では脊髄終糸が硬い人とはどんな人なのか?そう、幼い頃から体が硬い人にその危険性が高いのです。M・Nさんの場合も、もともと脊髄終糸が硬かったと考えられます。そんな彼女が病を引き起こすきっかけとなったのは、仕事中に何度もお辞儀を続けたこと。脊髄が無理に引っ張られることが急激に増えてしまったのです。また、重い荷物を持って腰に負担をかけることも、この病を悪化させる原因と言われています。彼女を悩ませていた腰痛、足の痛み、そして頻尿。これらはすべて、脊髄が無理に引っ張られ続けたことで、腰や足、膀胱へと伸びる神経が刺激されたため、起きていたのです。しかし、レントゲンやMRIでは、脊髄終糸の硬さはわからないため、病が発見されにくく、医師も診断をつけにくいと言われています。これこそが、この病の最大の特徴。M・Nさんのように、この病に気づかない患者は、数多くいると考えられているのです。そして、M・Nさんがお辞儀をしたその瞬間、脊髄から足首へと伸びる神経に麻痺が起きて、足首が動かなくなってしまったのです。現在、彼女は筋力低下を回復するための手術に備えています。この脊髄終糸症候群は、力仕事やお辞儀など体を前に曲げるような動作がきっかけになることが多いと言われています。そして何よりも気をつけなければならないのは、子どもの頃から体が硬い人なのです。 |