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『本当は怖い目のぼやけ~忍び寄る黒い悪魔~』 |
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N・Kさん(男性)/55歳(当時) |
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無職 |
東京郊外に暮らすN・Kさんには、最近、待望の初孫が誕生。毎週のように息子夫婦を家に招いては、趣味のカメラでその可愛い姿を写していましたが、ある夜、孫の寝顔を撮ろうとした時、さっきまで鮮明に見えていた孫の顔がなぜか急にぼやけて見えました。ぼやけたのは一瞬だけだし、歳をとれば老眼になるのは当たり前。そう思い込んだN・Kさんは、その異変を深刻には受け止めていませんでしたが、その後も彼の目を奇妙な異変が襲います。 |
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(1)視界の中心がぼやける
(2)視界の中心が歪んで見える
(3)視界の中心が薄暗く見える |
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加齢黄斑変性(かれいおうはんへんせい) |
<なぜ、目のぼやけから加齢黄斑変性に?> |
「加齢黄斑変性」とは、老眼と同じように歳をとることで目の機能が衰える病。しかし、老
眼と違って放っておくと、失明にいたることもある恐ろしい病なのです。近年、日本で患者が急増しており、現在、約40万人がこの病にかかっているといわれています。ではなぜ、この病の患者数が増えているのでしょうか?原因は、高齢者数の増加にあることはもちろんですが、他にも様々な生活習慣が大きく関係しているといわれています。そもそも加齢黄斑変性とは、老化によって網膜の奥に新しい血管が生えてくる病。また偏った食生活や、喫煙などの生活習慣によっても、新しい血管が生えやすくなってしまうのです。そして、病の進行と共に、この血管からじわじわと出血し始めます。N・Kさんに現れた視界の中心のぼやけ。あれは出血により、網膜の中心がダメージを受けたことによるもの。ところが、この時N・Kさんは、自分の目の異常を老眼であると勘違いしてしまいました。老眼は近くの物が全体的にぼやけるのに対し、加齢黄斑変性は視界の中心部だけに異常が現れるのが特徴。ただし、どちらも歳をとってから起きるため、N・Kさんのように加齢黄斑変性を、老眼と勘違いしてしまうケースが多いのです。では、N・Kさんが老眼との違いに気づくポイントはなかったのでしょうか?それこそが、視界の中心部が歪んで見えたり、薄暗く見えたあの異変でした。ところが、N・Kさんはこの病のもう1つの落とし穴に引っかかってしまいました。それは、片目で見た時は異常を感じるのに、両目で見ると、その異常がなくなってしまうこと。実はN・Kさんが異常に気づいたのは、右目だけで見ている時ばかりでした。そう、この病は一方の視野に異常が起きても、もう一方の正常な目が補ってくれるため、なかなかその異変に気づきにくいのです。これこそが、この病の最も恐ろしいところ!そしてついに、目の中の出血は、網膜の中心部に壊滅的なダメージを与えてしまったのです。右目の視力を、ほとんど失ってしまったN・Kさん。少しでも早く眼科を受診していれば、病の進行は防げたはずなのです。 |