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『本当は怖い歯茎の出血〜黒の衝撃〜』 |
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T・Yさん(男性)/38歳(当時) |
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自転車店経営 |
東京の下町で、自転車店を営むT・Yさん。キッチリした仕事が評判を呼び、店は大繁盛でしたが、自分のこととなると食事の前に手を洗わないなどとてもいいかげん。そんなT・Yさんが朝、歯を磨いていると、歯茎からの出血が。これまでも何度かあったものの、その量が多くなったように感じました。何かとズボラな彼は、
わざわざ病院に行くほどではないと放っておいてしまいますが、その後も奇妙な異変が続きました。 |
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(1)歯茎の出血
(2)指先のしびれ
(3)手足が冷たい
(4)ぶつけた傷口が化膿する
(5)(化膿した)小指が真っ黒に変色 |
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バージャー病 |
<なぜ、歯茎の出血からバージャー病に?> |
「バージャー病」とは、手足の血管の血の流れが滞り、ついには壊死、患部の切断に至ることもある難病。
現在、日本人の患者数はおよそ1万人。そのほとんどが、20代から40代の働き盛りの男性です。バージャー病は発症のしくみがはっきりと解明されていません。ただ、患者のほぼ100%が喫煙者であることから、タバコが血管に何らかの影響を与えるのでは、と考えられてきました。ところが最近、バージャー病患者の手足の血管を調べたところ、意外な菌が大量に発見されたのです。それは…「歯周病菌」。歯周病菌とは、歯茎を中心に増殖し、歯肉や歯根といった歯を支えている土台を破壊してしまう菌。では、歯周病菌とバージャー病には、どんな関係があるのでしょうか?最初にT・Yさんを襲った歯茎からの出血。そう、あのとき彼は歯周病になっていたのです。しかし、ずぼらな性格で、キチンと治療することもなく、放っておいたT・Yさん。歯周病は悪化を続け、ついに歯周病菌は動脈を通って、口のそばを通っているリンパ管へと侵入。全身を巡り、手足の血管に大量に蓄積されてしまったのです。歯周病菌は時間が経つと、血液を固まらせる習性があります。そのためT・Yさんは、手足の血行が悪くなり、バージャー病を発症させたと考えられます。そう、あの指先のピリピリするしびれと手足の冷えこそが、バージャー病の最初のサインだったのです。しかしT・Yさんは、冷え症と勘違いしてしまいました。これがバージャー病の大きな落とし穴。この時点で歯周病の治療を受けていれば、完治出来たはず。しかし、ついにバージャー病は、悪魔の牙を剥くことになります。そのきっかけとなったのが、あの足の小指のほんの小さな傷。このとき既に指先には、血液や酸素が十分に行き届いていませんでした。そのため傷は治らず、やがて小指の細胞が壊死、腐り始めたのです。そして、ついにはそれがひざ下まで広がり、切断せざるを得なくなったのです。現在日本で何らかの歯周病を患っている人は、歯茎の出血など軽いものも含めると、約9千万人とも言われています。特に40代後半から60代にかけては、およそ9割の人が歯周病にかかっているのです。 |