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『本当は怖いわき腹の痛み~忘れ物の代償~』 |
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T・Mさん(女性)/42歳(当時) |
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専業主婦 |
2人の息子を持つT・Mさん(42歳)の家庭では、育ち盛りの子供たちのためにと、料理はいつもボリューム満点。自分もつい食べ過ぎてしまうのが彼女の悩みでしたが、ある夜、右のわき腹に痛みを覚えました。
翌日、内科を受診した彼女は胆石と診断され、胆のうを摘出する手術を勧められますが、「胆石持ちでそのままの人もいるし…」と迷った末、手術を断ることに。1年後、食生活を変えたお陰か、T・Mさんが胆石の痛みに襲われることはなくなっていましたが、そのため医師と約束した、年に1度の定期検診を怠ってしまいます。そして、あのわき腹の痛みから5年後、気になる異変が起こり始めます…。 |
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(1)わき腹の痛み
(2)わき腹の違和感
(3)背中の張り
(4)倦怠感
(5)顔が黄色くなる |
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胆のう癌 |
<なぜ、わき腹の痛みから胆のう癌に?> |
「胆のう癌」とは、その名の通り、胆のうに生じた癌のこと。胆のうは、肝臓の陰に隠れている小さな臓器。
そのため、癌が発生しても見つけることがとても難しいのです。でもなぜT・Mさんは、胆のう癌になってしまったのでしょうか?原因はあの胆石にありました。検査で胆石が発見されたT・Mさん。「胆石持ちでそのままの人もいるし…」と、手術を受けなかったにも関わらず、その後、二度と痛みに悩まされることはありませんでした。しかし、皮肉にもそれが決定的な過ちをもたらしてしまいます。あれだけ強く言われていた、年に一度の定期検診を怠ってしまったのです。実は痛みこそ感じなかったものの、T・Mさんの体内に出来た胆石は無くなったわけではなく、胆のうの粘膜を繰り返し刺激していました。そして炎症を引き起こしたあげく、ついには癌化させてしまったのです。胆石が見つかってから5年。あの「わき腹の違和感」や「背中の張り」こそ、他でもない胆のう癌の症状でした。ところが彼女は、このサインを見過ごしてしまいました。この時、すぐに胆のうの検査を受けていれば、最悪の事態は避けられたかもしれません。そして、そのわずか3ヵ月後、重い「倦怠感」と顔が黄色くなる「黄疸」が、T・Mさんを襲います。これは胆のう癌が急成長して胆管を塞ぎ、胆汁を詰まらせたもの。そしてこの時すでに癌細胞は、肝臓など他の臓器にも転移していました。この進行の速さこそが、胆のう癌の最大の特徴。事実、あのわき腹の違和感からたった1年足らずで、T・Mさんは永遠の眠りにつきました。現在、成人の10人から20人に一人は、胆石を持っていると言われています。そしてT・Mさんのように、胆石から胆のう癌になるケースは、全体のおよそ5パーセント。胆石の人すべてが癌になるわけではありませんが、胆石が見つかった場合は、年に一度の定期検診を欠かしてはいけないのです。 |