診察室
診察日:2006年1月10日
ガン経験者が緊急警告!ガンの初期症状すべて見せますスペシャル
テーマ: 『こんな症状ありませんか?症例(1)胃ガン』
『こんな症状ありませんか?症例(2)乳ガン』
『こんな症状ありませんか?症例(3)口腔ガン』
『こんな症状ありませんか?症例(4)大腸ガン』

こんな症状ありませんか? 症例(1)『胃ガン』

N・Sさん(男性)/35歳(発症当時) 会社員(自動車部品会社勤務)
30代の働き盛りとあって、次々と重要な仕事を任されていたN・Sさん。接待や付き合いでの飲食は毎夜のことで、ストレスを感じない日はありませんでした。そんな彼の唯一のストレス解消法は自宅での晩酌でしたが、ある日、食べ過ぎてもいないのに軽い胃のもたれを感じました。胃薬を飲むと症状は楽になったため、ただの食べすぎと思っていましたが、その後も更なる症状が襲いかかります。
(1)食後の胃もたれ
(2)胃の不快感
(3)膨満感
(4)胃の痛み
(5)食欲不振
(6)体重減少
(7)吐き気
(8)吐血
胃ガン
<なぜ、食後の胃もたれから胃ガンに?>
「胃ガン」は、潜在的患者も含めると25万人が発症、年間5万人が亡くなる最も日本人に多いガンです。
N・Sさんの場合、すでにガンは肺や肝臓に転移。胃がん発見からわずか1ヶ月後、帰らぬ人となってしまったのです。N・Sさんを襲った症状のうち、注目すべきは(1)から(4)までの症状。これらは胃ガンの症状であると同時に、「慢性胃炎」による症状でもあるのです。日本人の大半が患っているという慢性胃炎と、胃ガンの間には、深い関係があります。ある恐ろしい細菌が、両者を結び付けているのです。その名は、ピロリ菌。ピロリ菌は胃の粘膜にすみつく細菌で、50歳以上の日本人のおよそ8割が感染していると考えられています。そして、このピロリ菌こそ、胃ガンや慢性胃炎に共通する大きな原因なのです。N・Sさんの場合も幼い頃、ピロリ菌が胃に侵入。20年もの長い時間をかけて、胃の粘膜を刺激し続けた結果、慢性胃炎を引き起こしていました。さらに、ストレスや酒、塩辛い食べ物などによって胃の粘膜の炎症は悪化。病は次の段階へと進行します。それが重く鈍い…胃の痛み。その時、N・Sさんは胃潰瘍を発症していたのです。この胃潰瘍は傷が浅い場合、胃壁の再生能力によって自然に治ってしまうことがあります。N・Sさんの場合も、痛みが和らいだため放っておきました。しかしその陰で、慢性胃炎で傷ついた胃壁には、何度も潰瘍ができ、ついには荒れ果てた胃の粘膜に、何らかの原因でガン細胞が生じてしまったのです。N・Sさんの場合、胃ガンが発症したのは症状(4)と(5)の間、ここがガン発生ラインだったと考えられるのです。厄介なことに、早期の胃ガンには自覚症状がありません。症状(5)の「食欲不振」で、実はガン発生からすでに5年以上が経過していました。症状が出るまで、つまり進行ガンになるまで、5年以上かかるといわれています。しかしN・Sさんは、進行ガンになった「食欲不振」以降も、すべての症状を見過ごし続けてしまいました。その結果、ガンが発見された時には、すでに肺や肝臓に転移。末期の状態だったのです。
「胃ガンを早期発見するためには?」
「上部内視鏡検査」を受ける方法があります。これはいわゆる胃カメラのこと。小さなカメラを口から挿入し、食道や胃などの病変を直接見て診断します。最近では以前のイメージとは異なり、かなり細いものに改良され、楽に検査を受けることができます。40代になったら、この上部内視鏡検査を一度は受けておくことが、胃ガンの何よりの予防法なのです。
こんな症状ありませんか? 症例(2)『乳ガン』
K・Aさん(女性)/38歳(発症当時) OL(広告代理店勤務)
小さな広告代理店で課長を務めるK・Aさんは、仕事一筋に生きてきたキャリアウーマン。仕事が早く終った日は、ストレス解消とダイエットのためにスポーツジムで泳ぐのが日課でしたが、生理が近づいたある日、左の胸に張りを感じました。1週間後、胸の張りはウソのように消えていたため、軽く考えていたK・Aさんですが、その後も気になる異変が続きました・・。
(1)乳房の張り
(2)乳房が痛む
(3)乳頭から分泌物が出る
(4)乳房にゴリゴリしたシコリ
(5)乳房にコロッとしたシコリ
(6)ひきつるような痛み
(7)乳房にへこみ
(8)血が混じった分泌物
乳ガン
<なぜ、乳房の張りから乳ガンに?>
女性の24人に1人という高い確率で発症する「乳ガン」は、女性がもっとも気をつけなければならないガンの一つです。K・Aさんの場合、すぐに左乳房の全摘出手術が行なわれました。生きるために、左胸を失ってしまったK・Aさん。以降、彼女は毎年の乳がん検診をかかしていないのです。今回、K・Aさんを襲った8つの症状のうち、(1)から(3)までの症状は、実は直接乳がんに関わるものではありません。乳腺症という別の病の症状なのです。「乳腺症」とは、女性ホルモンの刺激によって乳腺が増殖してしまう病。30代から40代の女性に多く、20人に1人くらいがかかるとも言われています。これ自体は特に治療の必要もないことが多く、恐い病気ではありません。しかし、実は乳腺症の経験のある女性は、ない人よりも乳ガンを発症しやすいと言われているのです。原因ははっきりとわかっていませんが、K・Aさんのように独身で出産経験のない人、もしくは初潮年齢が早い、閉経年齢が遅いなど、女性ホルモンにさらされている期間が長い人ほど、乳腺症、ひいては乳ガンになりやすいといわれています。そしてこの2つの病をつなぐ共通の症状こそ、乳房のシコリでした。K・Aさんの胸に最初にできたシコリ。あれは、乳腺症によるものでした。そして、5年後に見つけたシコリ。あれこそが、乳ガンによるもの。そう、K・Aさんの場合、症状(4)と(5)の間が、乳ガンの発生ライン。(5)の症状が出るまでの5年の間に、ガンが発生したと考えられるのです。では、乳腺症のシコリと乳ガンのシコリ。その違いは何なのでしょうか?一つはシコリの種類。乳腺症のシコリは全体的にゴリゴリと硬くなるのが特徴。乳ガンのシコリは、コロっとした小さな固まりが特徴です。しかし、よく似ているのでさわっただけではその違いが分かりづらいのです。2つのしこりを見分ける大きなポイントは、しこりのある期間。K・Aさんの場合、最初の乳腺症によるしこりは生理が終わると、まるでなくなったかのように症状はやわらぎました。しかし、乳ガンの場合は、生理が終わってもシコリが無くなることはないのです。そうとは知らず、ガンのシコリと乳腺症のシコリを勘違いしてしまったK・Aさん。彼女のように、乳ガンによるシコリを乳腺症によるものと思い込み、発見が遅れてしまうケースが非常に多いのです。
「乳ガンの早期発見に効果的な自己触診のやり方」
(1)鏡の前に立ち、手を腰にあてる
(2)乳首が変な方向に向いていないかをチェック
(3)片手を上げて、乳房にへこみがないかをチェック
(4)さらに反対側の手で、乳房に硬い部分やシコリがないかを触診チェック
(5)軽く乳首をつまんで、分泌物が出ないかをチェック

毎日、お風呂に入った時、手に石けんをつけて洗いながら触ると滑りやすく効果的に触診できます。
いつもと違うゴロッとしたシコリや硬い部分を感じたら病院へ行きましょう。
分泌物が両方の乳頭から出る場合や、乳頭の数カ所から透明や黄色いものが出る場合は良性、
乳頭の1カ所から赤黒い分泌物が出る場合は悪性です。

「もし自己触診で異変を感じたら・・・」
病院での精密検査が必要となります。
<1>マンモグラフィー(乳房専用のレントゲン装置)検査
<2>超音波検査
以上の二つの検査を受けることで、ほとんどしこりのないような早期の乳ガンまでも発見することができます。女性の方は、30代になれば一度検査されることをおすすめします。
こんな症状ありませんか? 症例(3)『口腔ガン』
M・Hさん(男性)/49歳(発症当時) 青果店経営
東京の下町で青果店を営むM・Hさんは、お酒が好きで、つい飲み過ぎて午前さまということもしばしば。つい歯磨きを怠ってしまう面倒くさがり屋のせいか、虫歯などのトラブルにしょっちゅう悩まされていました。そんなある日、固い煎餅をかじって、虫歯の詰め物が取れてしまったM・Hさん。特に痛みもなく、歯医者に行くのも面倒だと放っておいてしまいますが、その後、気になる症状が続きます・・。
(1)虫歯の詰め物が取れる
(2)舌の傷
(3)舌に口内炎ができる
(4)口内炎の一部が赤くなる
(5)舌がヒリヒリ痛む
(6)口の中の出血
(7)舌がしびれる
(8)ろれつが回らなくなる
舌ガン
<なぜ、虫歯の詰め物が取れたことから舌ガンに?>
「舌ガン」は、口腔ガンの中で最も症例が多く、進行の早いガンです。M・Hさんの場合も、すでに咽頭やリンパ節に転移しており、手の施しようがありませんでした。わずか半年後、M・Hさんは54歳でこの世を去ってしまったのです。では、M・Hさんを襲った症状のうち、どこからがガンによる症状だったのでしょうか?虫歯の詰め物がとれてしまったM・Hさん。すべてはここから始まりました。詰め物が取れた跡にできた、歯の鋭利な部分。これこそが、舌がんの元凶。この尖った歯が舌の同じ場所に長年刺激を与え続けたことで、新たな異変が起きたのです。それが、あの口内炎。実はこれ、単なる口内炎ではありませんでした。病名、白板症(はくばんしょう)。「白板症」とは、慢性的な刺激を受け続けることで、口の粘膜の一番外側が厚く白く変化する病のこと。一見、普通の口内炎とよく似ていますが、白板症は痛みがないのが特徴。そしてこの白板症こそ、ガンになる前段階の症状なのです。白板症にさらに刺激が加わると、白い層が剥がれ落ち、下の組織が剥き出しになります。そして、そこがアルコールやタバコなどで長年に渡って刺激されると、ガンが発生することがあるのです。M・Hさんの場合、ガンの発生ラインは、症状(5)と(6)の間だったと考えられます。その後、ガンは舌の奥の神経に到達。リンパ節を伝って、全身へと転移してしまったのです。
「舌ガンを早期発見するには?」
専門の病院を訪ね、「トルイジンブルー染色検査」を受ける方法があります。これはトルイジンブルーと呼ばれる染色液を使った検査で、舌に何らかの病変があるかどうかをチェックします。
まず、染色液を舌に塗り、酢酸できれいに拭き取ります。舌に何らかの傷や白板症、ひいてはガンなどがあると、青く染まって残ります。
こんな症状ありませんか? 症例(4)『大腸ガン』
N・Sさん(女性)/48歳(発症当時) 主婦
中学生の娘と、結婚25年目の夫に囲まれ、幸せな日々を送っていたN・Sさん。小さい頃から野菜が嫌いな彼女は、結婚してからも肉中心の食生活で、そのせいか便秘に悩まされていました。そんなある日、3日ぶりのお通じの後、トイレットペーパーにわずかな血が付いているのに気づいたN・Sさん。強くいきんだため、お尻が切れてしまっただけと考えていた彼女ですが、その後、新たな異変に襲われることになります。
(1)トイレットペーパーに血がつく
(2)便に血がつく
(3)便が細くなる
(4)便秘
(5)排便後すぐに便意をもよおす
(6)下痢
(7)下腹部のふくらみ
(8)ひどい便秘
(9)激しい腹痛
直腸ガン
<なぜ、排便後の出血から直腸ガンに?>
「直腸ガン」とは、肛門のすぐ上にある大腸の一部・直腸に出来るガンのこと。大腸ガンの中でも4割を占める最も多いガンです。緊急手術で直腸を全て摘出、かろうじて一命をとりとめたN・Sさん。しかし、人工肛門による生活を余儀なくされてしまったのです。トイレットペーパーに血がついた最初の症状から、わずか10ヶ月後のことでした。大腸ガンを発症したN・Sさんの場合、最初の症状が出た時には、すでにガンは進行していました。ではいったいなぜ、そこにいたるまでにガンの進行に気付くことができなかったのでしょうか?その訳は、大腸の粘膜にありました。実は、大腸の粘膜には痛覚が存在しません。そのため、ガンが出来ても、痛みを感じないのです。これこそが大腸ガンの恐ろしさ。痛みがないまま静かに進行し、その症状に気づいた時にはガンが発生してから何年も経っていた…ということが多いのです。N・Sさんの場合も、そうでした。最初にトイレットペーパーに血がついていた時点で、ガンは発生からすでに数年が経過。かなりの大きさになっていたため、便にこすれて出血していたのです。この出血を痔と勘違いしたN・Sさんは、ガンをそのまま放置。そのせいで、ガン細胞は日増しに増殖し、便秘や下痢などの症状を引き起こしながら、ついには直腸を完全に塞いでしまいました。そしてあの時、行き場を失った便が大腸全体に充満し、ついに腸が破裂してしまったのです。大腸ガンが発生する原因は、未だわかっていません。しかし、患者には、ある共通した危険因子があると考えられています。ひとつは、家族に大腸ガンを患った人がいるという家族歴。そして、肉類中心のバランスの悪い偏った食生活。さらに、肥満や運動不足なども、大腸がんと関係があるのではないかと言われています。たとえ症状がなくても、これらの危険因子を知り、早めに検査を受けることこそが、大腸ガンの唯一の予防策なのです。
「大腸ガンを早期発見するには?」
専門の病院で「下部内視鏡検査」を受ける方法があります。これは肛門からカメラを挿入し、大腸にガンがないかをチェックするというものです。希望により鎮静剤を使用することが可能。それでほとんどの方が眠ってしまい、痛みを感じることなく検査することができます。下剤を飲んで腸の中を空っぽにしてから行うため半日ほどかかりますが、危険因子に心当たりの方は一度検査されることをおすすめします。