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『本当は怖いゲップ~死の逆流~』 |
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H・Mさん(男性)/41歳(当時) |
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米屋 |
両親が営む米屋を手伝うH・Mさんは、肥満体質で、体重は90キロ。揚げ物などが大好物で、大盛りの丼飯をおかわりしては食事の度にゲップ、夜になると甘い物を食べながら晩酌をし、そのまま眠ってしまう毎日を繰り返していました。そんなある日、胸が焼けつくような感じを覚えたH・Mさん。飲み過ぎかと思った彼は、胃薬を飲んでその場をしのいでいましたが、4年の歳月が流れた頃、新たな異変が現れます。 |
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(1)ゲップ
(2)胸焼け
(3)胸のつかえ
(4)呼吸困難 |
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バレット腺癌 |
<なぜ、ゲップからバレット腺癌に?> |
「バレット腺癌」とは、食道の胃に近い部分がガンに冒される食道癌の一種。H・Mさ
んがバレット腺癌になってしまった原因は、暴飲暴食の食生活と肥満体型にありました。
H・Mさんのように、早食いで、しかも大食いの人は、危険なゲップが出やすい傾向にあ
ります。早食いをすると、食べ物と一緒に大量の空気を飲み込むため、それを出そうとし
てゲップがよく出るようになるのです。さらに大食いをすると胃が過剰に刺激され、胃酸
の量が増えるため、H・Mさんはゲップと同時に胃酸も逆流するようになっていました。
そして、その症状をさらに加速させたのが、彼の肥満体型。お腹の回りについた脂肪が、
胃を押し上げ胃酸が逆流。しゃがむたびに脂肪が胃を圧迫し逆流。ヒモやベルトをきつく
締めすぎて逆流。そして、何より症状を悪化させたのは、飲み食いした後、すぐのゴロ寝。
これもまた胃散を逆流させる危険な行為。こうした絶え間ない胃酸の逆流によって、H・
Mさんは逆流した胃酸の刺激で、食道が炎症を起こしてしまう「逆流性食道炎」に冒され
ていったのです。その結果、起こった症状が、あの「胸焼け」でした。この時点で生活を
改善していれば、事なきを得たはず。しかし、その後も同じ生活を続けたH・Mさん。胃
酸の刺激を受け続けた食道はついに、ある恐ろしい状態に陥ってしまいます。それが「バ
レット食道」。H・Mさんの食道は、徐々に細胞が変化し、なんと胃の粘膜のような異常な
組織に変わってしまったのです。実はこのバレット食道こそ、のちに、高確率でガンに進
行する「前癌状態」なのです。H・Mさんも、結局このバレット食道からガンを発生させ
てしまいます。そのサインこそが、あの食べ物が胸につかえるという症状でした。増殖し
たガン細胞によって、食道が狭くなり、食べ物が通りにくくなっていたのです。そして、
お見合いのときに一気に大食いしたことで食道は食べ物であふれ、気管にも詰まり、つい
には呼吸ができなくなったのです。現在、欧米諸国では、成人の100人に1人、そして
肥満の人の10人に1人がバレット食道になっているといわれています。今後、日本でも、
食事の欧米化などに伴いこの病気が急増するだろうと、専門家は警告しています。 |