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『本当は怖い頭痛~覚醒する悪魔~』 |
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K・Mさん(女性)/51歳(発症当時) |
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人材派遣会社社長 |
人材派遣会社の女社長K・Mさんは、負けず嫌いで強気な性格。3年前に独立して以来、結婚もせず仕事一筋に頑張ってきましたが、小さな会社のため何でもこなさなければならず、疲労とストレスはピークに達していました。そんな時、右の側頭部にズキズキと締め付けられるような痛みを感じたK・Mさん。働き過ぎがたたって調子を崩したのかも…と思って市販の薬を飲んで様子を見ていましたが、その後も更なる異変に襲われます。 |
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(1)頭痛
(2)耳鳴り
(3)耳の後ろに水疱
(4)激しい頭痛
(5)まっすぐ歩けない
(6)顔面麻痺
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帯状疱疹(たいじょうほうしん) |
<なぜ、頭痛から帯状疱疹に?> |
「帯状疱疹」とは、胸や腹部などに帯状の水疱(すいほう)ができ、うずくような痛みをもたらす病。日本では、現在およそ2000万人もの潜在患者がいるといわれています。その原因は、ほとんどの日本人が持っている水疱瘡(みずぼうそう)のウイルス。日本人の9割がかかる水疱瘡。実はこの水疱瘡のウイルスは病気が治っても体内の一部で生き続けています。そして機会を伺っては、再び活動を始め帯状疱疹となるのです。しかし帯状疱疹の多くは、痛み以外、それほど重い症状を引き起こすことはありません。ではなぜK・Mさんは、顔面麻痺に襲われてしまったのでしょうか?原因は、帯状疱疹が出た場所。K・Mさんの場合、水疱瘡のウイルスが姿を隠したのは耳の近くの三叉神経(さんさしんけい)でした。そのウィルスが、激務による疲れやストレスによる免疫力の低下に乗じて眠りから目覚め、活動を再開。耳の後ろの水疱という症状を引き起こしたのです。でも一個だけだからと気にも留めなかったK・Mさん。実はこの場所こそが落とし穴。彼女は髪の毛の下に隠れていた、いくつもの水疱を見逃してしまったのです。こうして密かに目覚めたウイルスは、まず、脳に近い神経細胞を傷つけ、その後、耳の近くにある内耳神経へと向かい、平衡感覚を司る三半規管(さんはんきかん)まで傷つけてしまいました。それがK・Mさんを襲った症状の原因だったのです。そして、あの顔面麻痺。これこそ活性化したウイルスが、ついに顔面神経まで破壊してしまった結果でした。帯状疱疹のおよそ75%は、胸や脚に目立つ水疱が出来るため、発見は容易です。しかし残りの25%は、頭部に発症。中でもK・Mさんのように、隠れた場所に水疱ができると、発見が遅れ重症化しやすいのです。現在、帯状疱疹は、早期に発見すれば、抗ウイルス薬の投与で、比較的治りやすい病。しかし発見が遅れると、激しい痛みが後遺症として数年に渡り残ってしまうこともあります。K・Mさんの場合も、顔面麻痺は治ったものの、あのひどい頭痛に現在もまだ悩まされています。彼女のように、四六時中襲ってくるしつこい痛みのせいでうつ病を発症、ついには自殺を図ってしまう患者もいるのです。だからこそ、痛みとともに現れる水疱というサインを決して見逃してはいけないのです。 |