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『本当は怖い咳~忍び寄る黒い影~』 |
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K・Mさん(女性)/56歳(発症当時) |
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不動産屋経営 |
首都圏近郊で不動産屋を営むK・Mさんの悩みは、夫がヘビースモーカーだということ。タバコを吸わない彼女にとって、その煙はどうにも耐えがたいものでした。しかし夫婦で受けた健康診断で高血圧を指摘されたことを機に、夫が一念発起して禁煙を決意。長年にわたる願いが叶ったK・Mさんでしたが、1年後、突然、タンの絡んだ激しい咳に襲われます。熱もあったため風邪と思い込んでいましたが、その後も更なる異変が続き・・・。 |
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(1)タンが絡んだ咳が出る
(2)息切れ
(3)高熱
(4)胸から笛を吹くような音がする
(5)激しい息切れ |
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COPD(慢性閉塞性肺疾患/まんせいへいそくせい はいしっかん) |
<なぜ、咳からCOPD(慢性閉塞性肺疾患)に?> |
「COPD(慢性閉塞性肺疾患)」とは、気管支や肺に異常が起き、充分な空気を取り入れることが出来なくなる病。満足に呼吸が出来ず、最悪の場合、死に至ることもあります。国内における潜在患者数は、およそ530万人。全世界の死亡原因の第4位を占め、今後ますます増えることが予測されています。このCOPDを引き起こす最大の原因こそ、喫煙。COPD患者の、実に95パーセント以上が、喫煙者だと言われているのです。しかし、なぜタバコを吸っていた夫ではなく、タバコを吸わないK・Mさんの方がCOPDを発症したのでしょうか?その犯人は、副流煙。実はタバコの先端から出る煙を副流煙といい、フィルターを通して吸う煙より数倍毒性が強いのです。結婚以来35年間、狭い職場で副流煙を吸い続けたK・Mさん。タバコの煙に含まれる200種類以上もの有害物質が、肺の末端にある肺胞に侵入。その壁の破壊を繰り返していました。その結果、彼女の肺は壊滅的なダメージを受けていたのです。自分の肺がそんな状態だとは夢にも思わず、夫が禁煙したことで、すっかり安心していたK・Mさん。でも、その禁煙はすでに手遅れ・・。病は密かに、爆発の機会をうかがっていたのです。その引き金となったのが、あの風邪でした。実はCOPDは、風邪をきっかけに、症状が悪化するケースが多いのです。風邪をひくと全身の免疫力が低下し、COPDによって傷ついていた気管支の粘膜の炎症が一気に悪化。この時、大量に分泌された粘液を吐き出すため、タンが絡んだ激しい咳に見舞われたのです。そして、あの運命の朝。またもやK・Mさんは風邪をひきます。すると、厚くなっていた気管支の壁がさらに腫れ上がり、空気の通り道が極端に細くなりました。それが、笛のような呼吸音の原因だったのです。こうして、最後の瞬間がやってきました。もはや肺の機能をほとんど失っていた彼女は、少し歩いただけで呼吸困難に陥ってしまったのです。入院後、懸命の治療によって一命を取り止めたK・Mさん。でもCOPDに破壊された肺の機能は、二度と戻ることがありません。K・Mさんは、酸素を補うために、片時もボンベを手放せない体になってしまったのです。 |