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『本当は怖い不眠~眠れない男~』 |
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S・Mさん(男性)/56歳(発症当時) |
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建設会社社長 |
建設会社の社長S・Mさんは、持ち前のバイタリティを武器に、会社を急成長させてきたやり手。仕事の後も、若い連中に負けないくらい腹いっぱい食べ、酒を浴びる程飲む。それが明日への活力と信じていましたが、ある晩、突然深夜に目覚め、そのまま眠れなくなってしまいました。たまたま眠れなかっただけと軽く考えていたS・Mさん。ところが、その日以来、眠りが浅くなって充分な睡眠が取れない状態が続き、さらなる異変にも襲われます。 |
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(1)不眠
(2)無気力
(3)昼間も眠れない
(4)突然の頭痛
(5)意識不明
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脳血管性うつ病 |
<なぜ、不眠から脳血管性うつ病に?> |
「脳血管性うつ病」とは、本人も自覚できない小さな脳梗塞によって引き起こされる「うつ病」のこと。この病の恐ろしいところは、たった1つの小さな梗塞が脳の前頭葉で起きても「うつ」の症状を発生してしまう可能性があること。S・Mさんも脳の前頭葉で小さな脳梗塞が発生していました。するとその脳梗塞が、血管の近くを通る神経を破壊。結果、思考や感情をコントロールする情報伝達物質の流れがさえぎられてしまいました。不眠、無気力といったS・Mさんのうつ症状は、こうして引き起こされたもの。この「うつ症状」こそ、脳梗塞を告げるサインだったのです。ではS・Mさんは、一体いつ脳梗塞になったのでしょうか?それは、最初の不眠に襲われたとき。まさにあの瞬間、小さな脳梗塞が発生していたのです。その後も、脳梗塞が増えるたびに症状は悪化。そんな夫の姿を見て、妻は、S・Mさんの病気を一般のうつ病だと思い込んでしまいました。実はこれこそ、脳血管性うつ病の落とし穴。一般のうつ病と勘違いしていると・・やがて、大きな脳梗塞が発生。一気に命を奪われてしまうケースが少なくないのです。では、一般のうつ病と脳血管性うつ病を見分けるポイントはないのでしょうか?それは、あの「突然の頭痛」。あれは神経ではなく、血管が塞がったために生じた脳梗塞特有の異変でした。つまり、一般のうつ病には起こりえない症状だったのです。しかしそのサインは見過ごされ、ついに脳の太い血管を完全に塞ぐ、致命的な脳梗塞を発症。S・Mさんは、帰らぬ人となりました。脳血管性うつ病は、中高年を中心に、なんと年間20万人以上が発症していると考えられているのです。 |