診察室
診察日:2006年3月21日
緊急3時間スペシャル!身体に危険な家庭料理&間違った薬の飲み方
テーマ:『本当は怖い美味しい家庭料理〜幸せな食卓〜』
『間違った薬の飲み方<1>〜韓流 地獄の熱風〜』
『間違った薬の飲み方<2>〜忍び寄る赤い悪魔〜』
『間違った薬の飲み方<3>〜肝っ玉母さんの暴走〜』
【本当は怖い美味しい家庭料理 編】

『本当は怖い美味しい家庭料理〜幸せな食卓〜』

O・Mさん(夫・男性)/43歳(発症当時) サラリーマン
結婚以来10年間、夫のために腕によりをかけて、沢山の料理を作ってきた主婦のO・Yさん(41歳)。味付けも夫好みの濃い味付け、朝食も手を抜くことなく何品も用意。残業で夫が夜遅く帰宅した日でも、好物の揚げ物を夜食として用意していました。夫はそんな妻の家庭料理が大好物、いつも美味しそうに食べていたのです。O・Yさんは、夫の姿に幸せを感じていました。しかし、悲劇の歯車は、猛スピードで回り始めていたのです。
(1)強い胸の痛み
糖尿病 ⇒心筋梗塞
<なぜ、美味しい家庭料理から心筋梗塞に?>
生活習慣病の典型、心筋梗塞。夫O・Mさんがこの病に陥った原因こそ、妻が愛情込めて作り続けた家庭料理にありました。彼女が夫に食べさせていた料理は、すべてが高カロリーのものだったのです。ある1日のO・Mさんの食事を見ると、その摂取カロリーは、なんと3800キロカロリーにも達していました。しかし、O・Mさんのように、一日中デスクワークをしている男性に必要なエネルギーは、2200キロカロリー程度。つまり彼は、必要なエネルギーの倍近くを摂取する生活を10年間も続けていたのです。その結果、O・Mさんは、ゆっくりと高血糖の状態に陥っていきました。そしてついに、糖尿病になってしまったのです。妻の料理のさらなる問題点は、脂肪分と塩分でした。夫が好きだからと、日々作っていた脂っこい料理の結果、O・Mさんが1年間に体に取り込んだ脂肪分は、なんと約25キロ。また、濃い味付けが好みの夫に合わせて、妻は塩や醤油などの調味料をたくさん使っていました。さらに、バターやベーコン、ソーセージなどには、もともと塩分が含まれています。その結果、1日8グラム以下に抑えるのが望ましい塩分を、O・Mさんは20グラムもとっていました。高カロリー、高脂肪、高塩分食によって、O・Mさんの血管では、急速に動脈硬化が進行。ついに心臓の冠動脈がつまり、心筋梗塞になってしまったのです。幸い、なんとか一命を取り留めたO・Mさん。現在は、病をこれ以上悪化させないよう、徹底した食事制限を行っています。夫に喜んでもらいたい、その思いだけで作ってきた料理が、まさか、こんな悲劇を招いてしまうことになるなんて・・・。あなたが作る家庭料理には、知らないうちに思わぬ危険が潜んでいるかも知れません。
【本当は怖い間違った薬の飲み方 編】
『間違った薬の飲み方<1>〜韓流 地獄の熱風〜』
K・Hさん(女性)/32歳(発症当時) 女性週刊誌記者
女性週刊誌の記者になって10年、大好きな韓流スターへのインタビューが決まったK・Hさん。やっと憧れの人に会えると、徹夜で資料を集め始めましたが、その翌朝、発熱と頭痛という風邪の症状を感じました。大事なインタビューを前に風邪をこじらせては大変と、病院で診察を受け、さっそく処方された総合感冒薬を飲んだK・Hさん。しかし、熱はなかなか下がらず、症状は悪化するばかりでした。
(1)下がらない熱
(2)倦怠感
(3)乾いた咳
(4)息切れ
(5)激しい呼吸困難
薬剤性間質性肺炎(やくざいせい かんしつせい はいえん)
<なぜ、風邪から薬剤性間質性肺炎に?>
「薬剤性間質性肺炎」とは、薬に対するアレルギー症状などが原因で、間質と呼ばれる肺の 壁の中で炎症がおこる病。身体に酸素が供給できなくなり、最悪の場合、死に至ることもあ る恐ろしい病気です。これまでに一部の漢方薬による死亡例も報告され、市販の総合感冒薬 でも、死亡例こそないものの、いくつかの症例が報告されているのです。このため厚生労働 省は、使用上の注意書きに、間質性肺炎の危険性を記載するよう指示しています。しかし、 どの薬に対して、どんな人がアレルギーを起こすのか、今のところ詳しい事は解明されてい ません。K・Hさんの場合も、以前は大丈夫だった薬で、いきなりアレルギー反応が起きて しまいました。この病の厄介なところは、風邪の諸症状と区別が難しいこと。では、風邪と の違いはどこにあったのでしょうか?それは、あの乾いた咳。そして、それまで経験したこ とのないような息切れ。これらの重要なサインを、つい見過ごして重症化させてしまうこと が多いのです。だからこそ病院に診察に行ったとき医師はこう言うのです…「症状が変わら なかったり、悪化するようでしたら、すぐに来てくださいね。」あなたも言われた事があるは ず。薬を飲み続けても症状の改善が見られなかったり、悪化するような場合は、風邪ではな く別の病気か、薬に対するアレルギーを疑って医師の診断を仰ぐことが大切なのです。K・ Hさんの場合も、薬によって頭痛は治まったにも関わらず、熱は一向に下がりませんでした。 これが重要なポイント。まさにあの時、薬剤性間質性肺炎が発症していたのです。こうして、 症状は改善するどころか悪化していたにもかかわらず、K・Hさんは風邪のせいだと思い込 み、アレルギーの原因である薬を飲み続けてしまいました。そして、間質の炎症がさらに進 み、ついに酸素がほとんど入らない状態に。K・Hさんは呼吸困難に陥ってしまったのです。 幸い、K・Hさんは懸命な治療のおかげで一命を取り留め、元気な体に戻ることができまし た。この病気は、これまでアレルギーと無縁な人でも突然発症する、恐ろしい病。ただし、 花粉症などのいわゆるアレルギー体質の人は、この薬剤アレルギーになり易いと言われてい るため、きちんと自分の体質を知っておく事も重要なのです。
「薬剤アレルギーを未然に防ぐためには?」
(1)自分自身のアレルギー体質を知ることが大切です。
(2)過剰なストレスなども、アレルギー発症のきっかけとなるので注意しましょう。
もしちょっとでも身体に違和感を覚えたら、病院で検査を受けることをおすすめします。
『間違った薬の飲み方<2>〜忍び寄る赤い悪魔〜』
K・Tさん(男性)/59歳(発症当時) サラリーマン
定年まであと2週間という日に、「一過性脳虚血発作(いっかせい のうきょけつほっさ/何らかの原因で血管がつまり、一時的に脳への血流が途絶えてしまう病)」に襲われ、意識を失い倒れてしまったK・Tさん。幸い一命を取り留めた彼に、医師が処方したのは、アスピリン成分を含む抗血小板薬。もともと痛み止めとして知られるこの成分は、血液をサラサラにする効果もあり、脳梗塞などの予防にも広く使われているのです。まもなく定年なのに、こんな調子では妻に恩返しをするどころではない…。そう思ったK・Tさんは、医師の指示通り、毎日、朝食後に薬を飲むことを妻に約束。しかし、肥満は万病の元とダイエットを始めた彼は、朝食を抜いて薬だけを飲むようになります。すると、様々な異変に襲われ・・・
(1)めまい
(2)息切れ
(3)食欲不振
(4)吐血
アスピリン起因性潰瘍(アスピリンきいんせいかいよう)
<なぜ、朝食抜きで薬からアスピリン起因性潰瘍に?>
「アスピリン起因性潰瘍」とは、アスピリン成分を含む薬の服用が原因で、胃や腸に潰瘍ができてしまう病。ひどい場合は胃の壁に穴が開き、大量の出血を引き起こすこともあります。K・Tさんの場合も、胃に潰瘍ができていました。それもかなり進行し、急激に胃の中に血が溜まったため、コップ一杯程の血液を一気に吐き出してしまったのです。しかし、一体なぜ、こんなことになってしまったのでしょうか?全ての原因は、K・Tさんのあの間違った薬の飲み方にありました。そう、医師から「毎朝1錠、食後に飲んで下さい」と言われていたにも関わらず、ダイエットのためと朝食を抜いて薬を飲んでしまったのです。通常、胃に負担をかける薬は、食事をとり、胃の粘膜を保護してから飲む必要があります。しかし、K・Tさんは毎日、胃が空っぽの状態で薬を飲み続けたために、胃の粘膜を急速に傷つけてしまったのです。しかも、こんな危険な飲み方を毎日続けた結果、なんと1週間で、K・Tさんの胃には潰瘍ができ、出血を繰り返すようになったのです。そう、あのめまいや、息切れは、出血が増え、貧血気味になっていたのが原因。この病は空腹時に薬を飲んだからといって、誰もがなるわけではありません。しかし、いつ誰に起こるかわからないため、注意が必要なのです。幸い一命を取り留めたK・Tさん。その後は薬の用法を守り、健康回復。半年後、夫婦そろって念願のハワイへと旅立ったのです・・・。
「間違った薬の飲み方で病気にならないためには?」
(1)薬は使用上の注意をきちんと読み、医師や薬剤師の指示を守って飲みましょう。
(2)それでこそ、薬は最大限の効果を発揮し、あなたを病から守ってくれるのです。
『間違った薬の飲み方<3> 〜肝っ玉母さんの暴走〜』
T・Hさん(女性)/58歳(発症当時) 青果店経営
商店街で青果店を営むT・Hさんは、明るく気さくで元気いっぱいの “下町の肝っ玉母さん”。ここ10年病気知らずで、健康診断を受けることもありませんでした。そんなある日、風邪をひいてしまったT・Hさん。春野菜の出荷が始まり忙しくなるこの時期、風邪をこじらせるわけにはいかないと、病院で診察を受けたところ、解熱鎮痛剤とうがい薬、細菌の感染を抑える抗菌剤を処方されました。ところが、翌日になっても熱が下がらないT・Hさん。一刻も早く治そうと、朝夕1日2回と指示された薬を、なんと1日3回毎食後飲むことにします。しかし、薬を飲み始めて3日目、彼女に奇妙な症状が起き始めます。
(1)空腹感
(2)ボッーとする
(3)猛烈な不安感
(4)冷や汗
(5)昏睡状態
低血糖症
<なぜ、風邪から低血糖症に?>
「低血糖症」とは、血液の中の糖分が異常に低くなり、さまざまな異変が生じる状態のこと。 最悪の場合、T・Hさんのように昏睡状態に陥ってしまう、恐ろしい病です。でもなぜT・ Hさんは、低血糖症になってしまったのでしょうか?きっかけは、処方されたあの薬にあり ました。細菌の感染を抑えるための「抗菌剤」です。この抗菌剤が血液中の糖分を急激に下 げ、T・Hさんの低血糖症を引き起こしたと考えられるのです。とはいえ、この薬は、風邪 や膀胱炎などの患者に普通に処方されている一般的な薬。誰もが低血糖症を引き起こすわけ ではありません。実はT・Hさんの場合、ある致命的なミスが発病につながっていたのです。 それは・・健康診断も受けていないのに、勝手な思い込みで自分は健康だと信じていたこと。 そう、実はT・Hさん、知らない間に糖尿病の一歩手前、「糖尿病予備群」になっていたので す。そうとは知らず、自分の健康を過信してしまったことこそ、彼女が犯した最大の過ち! なぜなら、糖尿病予備群の患者はすい臓の機能が低下し、血糖をうまく調節できない状態に なっています。それを知らずに抗菌剤を服用すると、すい臓が誤作動を起こし、大量のイン スリンを分泌してしまうと考えられているのです。そんな状態にもかかわらず、T・Hさん は更なるミスを犯してしまいます。それは、1日2回と指示された薬を勝手に3回に増やし て服用したこと。この結果、より大量のインスリンがすい臓から分泌。血中に放出されて糖 分が一気に激減し、「空腹感」「ボーッとする」「急に不安になる」など典型的な低血糖の症状 に襲われたのです。そしてついに脳にまで糖分が行き渡らなくなり、昏睡状態に陥ってしま ったのです。その後、病院で治療を受け、意識を取り戻したT・Hさん。今では“肝っ玉母 さん”完全復活です。実はこの病、多くのケースは糖尿病の患者が、一部の抗菌剤を飲んだ ことで発症するというものでした。しかしその後、糖尿病予備群やそれ以外の人でも低血糖 になることが判明。その結果、厚生労働省は「緊急安全性情報」を出すよう指示し、糖尿病 患者への投与を禁止するとともに、それ以外の人にも注意を促したのです。もし万一、疑わ しき症状が出た場合は、すぐ薬の服用を中止し、医師の診察を受けることが重要なのです。
薬の正しい飲み方テスト