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『本当は怖い引越し~幸せに潜む闇~』 |
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K・Iさん(女性)/40歳(発症当時) |
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専業主婦 |
長年住み慣れた団地から、郊外の庭付き一戸建てに引越すことになったK・Iさん。新居は几帳面で計画的な性格の彼女がコツコツと倹約を続け、ようやく手に入れた夢のマイホームでした。しかし、引越したその日、K・Iさんは新居の使い勝手や慣れないスーパーでの買物など、環境の変化に戸惑いを覚えます。翌朝、なぜか朝方早くに目が覚めて眠れなくなり、食欲もわかなくなってしまったK・Iさん。疲れが取れていないだけと思っていましたが、さらなる異変が彼女を襲います。 |
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(1)朝早く目が覚める
(2)食欲不振
(3)倦怠感
(4)自分を責める |
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引越しうつ病 |
<夢のマイホームのはずが、なぜ引越しうつ病に?> |
そもそもうつ病とは、様々なストレスが原因となっておきる精神的な病。「引越しうつ病」は、
引越しがきっかけになっておきる、うつ病なのです。毎年実に4万人が発症するとも言われ、
決して珍しい病気ではありません。では何故、家族の中でK・Iさんだけがうつ病を発症し
てしまったのでしょうか?その大きな原因は彼女の性格にありました。几帳面でまじめ、毎
日家計簿をつけるなど、とても計画的な性格だったK・Iさん。この性格こそ「メランコリ
ー親和型性格」と呼ばれているもの。几帳面で責任感が強く、徹底した計画性を持つ、社会
的には非常に好まれる性格ですが、だからこそ人一倍ストレスを受けやすいのです。K・I
さんの場合、几帳面さのあまり、ちょっとした環境の変化を軽く受け流すことが出来ません
でした。そのため、一見なんでもない小さな出来事が、全てストレスとなっていたのです。
こうした小さなストレスが度重なることで、脳内の神経伝達物質が減少。脳が機能低下を起
こしたため、様々な症状が現れました。しかし、彼女は引越し疲れだろうと軽く考え、放っ
ておいてしまいました。これこそがこの病の落とし穴だとも知らずに・・・。そして、つい
に自らの命を絶とうとするまで病を悪化させてしまったのです・・・。幸い発見が早かった
ため、K・Iさんは一命を取り留めました。そして、薬による治療のお陰で、現在は元気に
新しい環境になじんでいます。普通、引越し疲れは2・3日で解消するもの。2週間以上た
っても、気分がすぐれなければ、無理をしたり、我慢することなく、病院で相談することが
何よりも大切なのです。 |