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『本当は怖い便秘〜恥ずかしさが招いた悲劇〜』 |
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K・Tさん(女性)/60歳(発症当時) |
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無職 |
3人の子供を育て上げ、現在は長男夫婦と同居、友人たちとの食べ歩きを楽しみにしていたK・Tさん。そんな彼女の唯一の悩みは、トイレが長いこと。若い頃から便秘症だった彼女。特に最近では一週間以上も続くしつこい便秘に悩まされていたのです。「これ位いつものことだから」と軽く考えていたK・Tさんですが、その後も奇妙な異変が続きました。 |
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(1)便秘
(2)頻尿
(3)尿漏れ
(4)股間に違和感
(5)お腹が下に引っ張られるような感覚
(6)陰部からピンポン玉大の物が出る
(7)尿が出ない
(8)激しい腹痛 |
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性器脱(せいきだつ) |
<なぜ、便秘から性器脱に?> |
「性器脱」とは、子宮や膀胱などの臓器が下がり、子宮が膣を通り外に出てしまう女性特有の病。欧米では、50歳以上の女性の半数が、この性器脱になっているといわれ、日本でも、潜在的に多くの患者がいるといわれています。女性の骨盤の中の臓器は、骨盤底筋(こつばんていきん)というハンモックのような組織に支えられています。しかし、何度も出産を経験したことのある女性が更年期を迎えると、骨盤底筋にゆるみが生じ、子宮や膀胱が膣の中に下がってくることがあるのです。K・Tさんも、まさにそんな1人でした。しかし、性器脱は、何度も出産した女性全員が発症するわけではありません。実は彼女には、あるきっかけがありました。それが、あの便秘症。長年、便秘症に悩まされていたK・Tさんは、いきむことが多く、その度に子宮を下に押し出す力が働き、性器脱が始まってしまったのです。そして子宮が膣の中に降りてくると、膀胱を圧迫。何度も尿意をもよおす頻尿になり、やがて尿漏れなどの症状を起こすようになりました。そしてついに、お風呂に入って体の緊張がほぐれた時、下がってきた子宮が、外に出てしまいました。しかし、子宮は自分で押し込めば、一時的に戻るため、K・Tさんのように病院に行かない人が多いのです。さらに下がり続けた子宮は、膀胱を変形させ、K・Tさんは、尿が全く出なくなる「尿閉」を起こしてしまったのです。この病の一番の問題点は、発症しても恥ずかしさのあまり、誰にも相談できず、症状が進行してしまうこと。勇気を出して専門医の診察を受ければ、悩みは解消できるのです。現在、K・Tさんは、外科手術によって性器脱を完治し、元通りの活発な生活を取り戻しています。 |